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2016年3月29日(火)

待機児童緊急対策 定員緩和で詰め込み

保育士の賃上げなし

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 塩崎恭久厚生労働相は28日、保育所に入れない待機児童の緊急対策を発表しました。施設の定員を緩和するなど子どもの成長と安全を犠牲にして既存施設に詰め込む一方、保育施設の増設に不可欠の保育士の賃金引き上げは、まったく盛り込まれておらず、実効性に乏しい内容です。

 保育施設の定員拡大では、19人以下の小規模保育の上限を22人に拡大。これまで3歳児以降の受け入れ先が見つからない場合、特例的に認めていたものを恒常化します。人員・面積基準の順守を条件としていますが、小規模保育は保育士がゼロでも可能で、水準低下の歯止めになりません。

 国の基準より配置基準や面積基準を引き上げている自治体は、基準を緩めて受け入れを増やすよう求めます。

 2年連続して定員の120%を超えた場合に適用される減額措置について、3年目以降も減額なしに詰め込みできるようにします。

 これらの規制緩和や基準引き下げは期限も示されておらず、恒常的になる危険性も抱えています。

 新たな受け皿として来年度から導入予定の「企業主導型保育」の積極的展開を掲げています。しかし、保育士は半数でよく、園庭と調理室の設置義務もないなど水準低下は避けられないものです。

 一方、日本共産党が求めてきた、自治体の空きスペースを活用した保育所整備や国による整備費の支援などが盛り込まれました。

 子どもの「一時預かり」は、定期利用できるように拡充し、保護者らの利用料を軽減するとしています。

解説

発達と安全を犠牲に

厚労省が28日に公表した待機児童の緊急対策は、子どもの発達と安全を犠牲にして、保育士の手当てもないまま既存施設に詰め込もうとするものです。

 定員を増やす小規模保育は保育士がゼロの施設もあり、安上がりに整備できるとして、待機児の多い0〜2歳児を対象に今年度から導入したものです。そこにさらに詰め込むなど極めて問題です。

 0〜2歳の保育は、月齢によって大きく違う発達に合わせて保育する専門性が求められます。詰め込みは、保育士にも過大な負担を強いるものです。

 国を上回る人員や面積基準を導入している自治体には、基準を下げて受け入れを増やすよう求めていますが、自治体の基準は国の基準では詰め込みになるとして引き上げられたものです。それをやめて詰め込ませるというのは逆行しています。

 一方、保育所増設に不可欠な保育士の待遇改善については、賃金引き上げなどまったく盛り込まれていません。これでは、“絵にかいたもち”も同然です。保育士の賃金を抜本的に引き上げて、自治体の公共施設の空きスペースを大規模に活用するなど、国と自治体の責任で認可保育所を抜本的に増設すべきです。

(鎌塚由美)


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