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2016年3月29日(火)

主張

戦争法の施行

違憲の法制は廃止以外にない

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 安倍晋三政権が、憲法の平和主義、立憲主義を破壊し、昨年9月に強行成立させた戦争法が、きょう施行されます。戦争法は、戦争放棄、戦力不保持を定めた憲法9条を踏み破り、世界のどこでも米国が起こす戦争に日本が参戦するための違憲の法制です。憲法9条の下で、1954年の自衛隊創設以来、一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺さなかった戦後日本の在り方を根本的に変え、「殺し、殺される国」にするものです。国民の批判や不安になんら応えることなく、戦争法の施行を決めた安倍政権の姿勢は重大です。

危険極まる参戦の仕組み

 戦争法の本質的な危険は、日米同盟を憲法の上に置き、米国の戦争に日本が参戦する仕組みがいくつも盛り込まれていることです。

 日本が直接、武力攻撃を受けていないのに、海外で米国が介入・干渉の戦争などを起こした際、時の政権がそうした事態を日本の「存立危機事態」だと判断すれば、「米軍防衛」のために歴代政府が違憲としてきた集団的自衛権の行使=自衛隊の海外での武力行使が可能になります。

 従来の米軍支援法にあった地理的制約をなくし、地球規模で米軍に対し輸送や補給などの支援(兵站(へいたん))もできるようになります。歴代政府が「他国の武力行使と一体化する」との理由で禁じていた「戦闘地域」での活動も可能です。兵站は戦争遂行に不可欠であり、敵から狙われやすい軍事目標です。自衛隊部隊が攻撃されれば、応戦し、戦闘に発展することになります。

 自衛隊が自らの武器を守る「武器防護」規定を広げ、「平時」から米軍を「防護」できるようにもしました。自衛隊の防護対象は米軍の空母や戦闘機など無限定です。

 国連平和維持活動(PKO)などでは、新たな任務として▽他国部隊などが攻撃された際の「駆け付け警護」▽「住民保護」などを目的にした警備や巡回、検問といった「治安維持」―を加え、これら任務遂行のための武器使用を認めました。自らは攻撃されていないのに、先制的に武器を使用する恐れもあります。

 戦争法の施行により、「殺し、殺される」現実の危険は、いよいよ差し迫ったものになっています。

 安倍首相は、内戦状態にある南スーダンのPKOに派遣している自衛隊部隊に新たな任務を付与することを検討していると認めています。中谷元・防衛相は5月に派遣する第10次隊に新任務の追加予定はないとしつつ、今秋派遣する第11次隊への付与は否定していません。自衛隊に「駆け付け警護」などのための武器使用を認めれば現地武装勢力と交戦し、戦後初めて外国で人を殺す危険は避けられません。戦争法をこのままにしておくことは絶対に許されません。

世論と共同をさらに広げ

 安倍政権は、戦争法成立後も広がる反対世論を恐れ、国政選挙での争点隠しの狙いから具体化作業を当初より遅らせています。米軍支援を拡大する日米物品役務提供協定(ACSA)は今国会への提出を見送り、米軍「防護」の運用指針も策定されていません。

 戦争法廃止と集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回、立憲主義回復を求める世論と共同のたたかいをさらに広げ、安倍政権を追い込むため全力を尽くす時です。


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