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2016年3月22日(火)

主張

欠陥マイナンバー

強引な推進は矛盾深めるだけ

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 今年1月から本格運用が始まったマイナンバー(共通番号)制度をめぐり、トラブルが相次ぎ、仕組みの矛盾が浮き彫りになっています。マイナンバーの通知書を受け取れない世帯が依然として数百万規模で残されているだけでなく、政府が普及に力を入れる「個人番号カード」の発行でシステム障害が繰り返されていることが新たな問題として浮上しています。問題を放置したまま、制度を推し進めるのは、あまりに乱暴です。

システム障害が続発し

 マイナンバーは、日本に住民登録している人全員に12桁の番号を割り振り、税や社会保障などの個人情報を国が管理する仕組みです。昨年10月から、対象となる約5600万世帯に番号を通知する簡易書留を郵送しましたが、さまざまな事情で転居届をしていない人たちなどの手元に届かず、200万通以上が返送されています。自分の番号をいまだに知ることができない人たちがこれだけ残されたままになっていること自体、制度が抱える矛盾を示しています。

 番号通知すら終わるめどがないのに、安倍晋三政権は1月から、希望者が任意で申請する「個人番号カード」の交付作業を開始しました。「個人番号カード」はいまのところ身分証明くらいにしか使い道がありません。むしろ、他人にむやみに知らせてはならない番号と顔写真・氏名が一体で記載されているカードを持ち歩くことの方が、紛失や盗難のリスクを高めるものです。そんな問題にはほとんど触れず、もっぱら「メリットいっぱい」などと宣伝し普及促進にばかり力を入れる安倍政権のやり方は、国民の個人情報の保護に責任をもつ姿勢ではありません。

 重大なのは、政府が普及を促している「個人番号カード」の交付システムでトラブルが繰り返され、希望者への交付手続きが大混乱に陥っていることです。「個人番号カード」の交付は、市区町村の窓口が行いますが、それを統括している「地方公共団体情報システム機構」(東京)のカード管理システムが断続的に障害をおこし、カードが発行できない事態が続発しています。遠くからカードを受け取りに来た高齢の人に帰ってもらったり、後で郵送する手続きをとったりと、住民や自治体職員に大変な手間と不便を強いています。

 機構は詳しい原因を明らかにしていませんが、2カ月以上も正常に機能しないというのは、構造的欠陥も疑われます。個人情報の管理にかかわるシステムを、不具合のまま動かし続けるのは危険です。せめて原因が解明されるまで、システムを止め、交付作業をストップすべきではないのか。ずるずる続けるのは許されません。

凍結・中止こそ急がれる

 これまでに「個人番号カード」交付を希望したのは約900万人ですが、それさえ交付完了の見通しは立っていません。計画自体に無理があることは明らかです。

 安倍政権はいまだに「個人番号カード」普及を宣伝したり、「カード」の民間利用拡大の検討会を発足させたり、と異常な前のめりです。いまやるべきことは、噴出している問題点の徹底的な検証と制度の見直しです。個人情報を危険にさらし、国民への国家管理と監視強化につながるマイナンバー制度は凍結・中止し、廃止に向けた議論を行うことが必要です。


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