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2016年1月21日(木)

きょうの潮流

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 最後に舞台で元気な姿を拝見したのは、一昨年の「お染の七役」だったか。質屋の娘と丁稚(でっち)の道ならぬ恋。実際に大阪で起きた心中事件が題材ですが、この鶴屋南北の作ではめでたく幕に▼心中するつもりだったお染と久松を結ぶ仲人佐四郎役で登場したのが中村梅之助さんでした。屋号「成駒屋」の掛け声が飛ぶなか、2人の縁組が許された吉報を届ける。福の神の役がぴったりと▼江戸時代後期の演目は近代に入って途絶えていました。それを戦前に復活上演したのが前進座です。身分差別の色濃い歌舞伎界で大衆演劇の創造と民主的な運営を掲げた新しい演劇集団が発足したのは、1931年でした▼85歳で亡くなった梅之助さんの歩んできた道のりは前進座の歴史と重なります。歌舞伎、時代劇、現代劇、児童演劇。つねに挑戦し、次の世代に芸を引き継いできた劇団の精神は、彼の好きな台詞(せりふ)「変わるのが人間だ!」につながります▼丸顔にニコニコ笑顔。人情味あふれた口跡。代名詞となった「遠山の金さん」では、悪をとっちめる金さんがだれのために笑い、泣き、怒るのか。それを忘れず台本を読んだと、本紙日曜版で語っていました▼「赤旗」創刊80周年のときには、戦争体験を交えてこんな談話を。「日本はまた軍国的な国の方向へ行きかねない、おかしな動きが出てきている。それだけに『赤旗』がこれからも、多くの人々の中に入って、支持されてどんどん広がってほしい」。庶民の暮らしのなかで生き続けた演劇人でした。


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