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2016年1月17日(日)

主張

学校での政治教育

現場を萎縮させる圧力やめよ

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 今夏の参院選から選挙権が18歳以上に拡大されるのを前に、学校での政治教育、主権者教育が重要な課題として注目されています。ところが自民党などが学校での政治教育の授業に対し、圧力をかける動きが各地に広がっています。積極的な主権者教育の試みを萎縮させる攻撃はやめるべきです。

批判力・判断力育むこと

 昨年、山口県のある高校で「安保法案」についての授業がありました。この授業に対し県議会で自民党議員が、教材に朝日新聞と日経新聞の2紙だけが使用されたことなどを理由に、「政治的中立性」に問題があるかのように取り上げました。教育長も同調しました。しかしこの授業は、生徒が「安保法案」についての政府の見解や野党の主張などを学び、自分たちの意見を発表し、説得力のある意見に投票するというものでした。特定の政治的見解を押し付けるものでなく、「政治的中立性」に何ら反するものではありません。

 教員たちが工夫して政治教育を試みても、このように政治家が難癖をつけ、それに教育委員会が同調する。これでは政治教育は危ないからやめようという自粛ムードをつくり、政治教育の芽をつみとるようなものです。深刻なことに、その後も同様の事例が続いています。教育の自由を侵害する圧力はやめるべきです。

 文部科学省や教育委員会は不当な攻撃には毅然(きぜん)と対処し、多様な政治教育の試みを励ますべきです。仮に、そのなかで改善すべきことがあれば、議論を深め、現場の主体的な改善の努力をはかるようにすることが教育行政の役割ではないでしょうか。

 そもそも戦後の政治教育は、1947年の教育基本法によって定められたものです。現行の基本法でも「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」とされています。これは、戦前の軍国主義教育が国家の政策に無条件に服従する子どもを育てたことを深く反省し、子どもに政治に関する基本的知識を与え、政治的批判力、判断力を養うために構想されたものです。一人ひとりが主権者として政治にかかわる民主主義の社会を築くために不可欠な教育といえます。

 現実の政治課題を取り上げることは、文科省も認めたように生きた教育として重要です。教師が特定の見解を押し付けるのではなく、自分はこう思うと自身の意見を述べながら授業を進めることは、諸外国では指導法の一つとして認められています。生徒も教師も自由闊達(かったつ)に政治や社会の問題を語り合えてこそ、民主主義の国の教育といえます。

 そうした教育を「あれもだめこれもだめ」と抑圧する―。その根底には、「戦争する国」、弱肉強食の経済社会という国策に従順な「人づくり」を教育で行おうとする安倍政権の姿勢があるといわざるをえません。

民主主義の切実な課題

 長年の自民党政府のもとで政治教育は十分に行われず、主権者教育の不十分さは若者の政治的関心の低さの要因の一つと指摘されてきました。18歳選挙権を前に政治教育を盛んにすることは日本の民主主義の重要な課題です。

 現場を萎縮させる政治的圧力に強く反対し、主権者を育む政治教育を守り、発展させましょう。


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