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2016年1月5日(火)

日本共産党の躍進で政治を変え新しい歴史をつくる年に

2016年党旗びらき 志位委員長のあいさつ

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日本共産党の志位和夫委員長が4日、日本共産党本部で開かれた党旗びらきで行ったあいさつは次のとおりです。

開始された日本国民の新たな歩み――これを政治の変革につなげる年に

(動画)志位和夫委員長のあいさつ=4日、党本部

 2016年、明けましておめでとうございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、新春にあたって心からのあいさつを送ります。

日本の歴史でも初めての市民革命的な動きが開始された

 昨年は、安倍政権によって戦後最悪の違憲立法――戦争法が強行されるという、日本の歴史に大きな汚点を刻む年となりました。同時に、大きな希望が見えてきた年ともなりました。戦争法案に反対するたたかいを通じて、国民一人ひとりが、主権者として、自分の頭で考え、自分の言葉で語り、自分の足で行動する、自由で自発的な、戦後かつてない新しい国民運動が、わき起こり、豊かに発展しています。

 三つの潮流がおこり、大合流しています。

 第1に、戦後の平和運動、民主主義運動を担ってきた潮流が、過去のいきさつを乗り越えて、「総がかり行動実行委員会」という画期的な共闘組織をつくり、上智大学教授の中野晃一さんの言葉を借りますと「敷布団」として、運動の全体を支える大きな役割を果たしています。

 第2に、そのうえに、「シールズ」「ティーンズ・ソウル」「ママの会」「学者の会」「立憲デモクラシーの会」など、新しい自発的な政治参加の動きが、いわばふかふかの「掛け布団」として幾重にも積み重なり、発展しています。

 さらに、第3に、多くの憲法学者、歴代の元内閣法制局長官、元最高裁長官と判事、日本弁護士連合会など、憲法学と法曹界の“専門家の知的共同体”が、「安保法制は憲法違反」との批判を突きつけたことは、世論と運動の発展にとって決定的意義をもつものとなりました。

 そのどれもが、戦後かつてない新しい動きです。

 私たちが、この運動に参加して強烈に感じたのは、多くの人々が、「自分たちこそ主権者であり、政治について考え、声をあげるのは当たり前」という、主権者としての強い自覚をもって立ち上がっているということです。それは、「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」、「言うことを聞かなければ、政府を変える」という若者たちのコールにも表れました。昨年から今年にかけて日本で起こっているうねりは、日本の歴史でも初めての市民革命的な動きが開始されたといっていいのではないでしょうか。

 昨年10月、私は、韓国を訪問する機会がありました。同じ時期に、緒方(靖夫)副委員長が、中国で開催された国際会議に参加しました。これらの国際交流で印象深かったのは、日本国民のたたかいの様子が、アジアでもヨーロッパでも、テレビなどで広く伝えられ、よく知られているということでした。そして、韓国の友人からも、ヨーロッパの代表からも言われたことは、「日本国民は、悪い政治にも、非常に我慢強い国民だと思っていたが、印象を一変した」ということでした。「我慢強い」といわれますと、ちょっと反論したくなりますが、そういう見方をされている。日本の運動は、世界が驚くようなたたかいとして発展しているのであります。

 このたたかいのなかで、学生、高校生を含む若い世代が、素晴らしい役割を果たしているのは、日本の未来にとって大きな希望であります。開始された若者の運動が、持続的に、またさらに多くの若者が参加する運動として発展するよう、共同のたたかいを進めたいと思います。

 みなさん。今年、2016年を、開始された日本国民の新たな歩みを、日本の政治の変革につなげる年にするために、ともに全力をあげて奮闘しようではありませんか。(拍手)

“第3の躍進”が地方政治に――この流れを参院選、総選挙でさらに

 昨年のたたかいで、いま一つ、特筆すべきことがあります。それは、2013年の参議院選挙、2014年の総選挙での躍進に続いて、2015年が日本共産党の“第3の躍進”の波を地方政治に広げた年になったということです。

 4月のいっせい地方選挙で、日本共産党は、全体として躍進をかちとり、県議空白だった七つの県で議席を獲得し、党史上初めて全国すべての都道府県議会に党議員をもつことができました。9月から11月にかけてたたかわれた被災3県――岩手、宮城、福島の県議会議員選挙でも、わが党は11議席から16議席に躍進し、得票でも躍進をかちとりました。昨年1年間で、日本共産党の地方議員は146議席増となり、2000年以来、15年ぶりに年間をつうじて議席増に転じました。議席占有率も8・42%と過去最高となったことを報告しておきたいと思います。(拍手)

 この躍進の流れを、絶対に中断することなく、この夏の参議院選挙、来るべき総選挙でのいっそうの躍進へとつなげる決意を、年頭にあたってともに固め合いたいと思います。(拍手)

「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の実現の扉を開く年に

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(写真)SEALDsの抗議行動で、あいさつする志位和夫委員長=2015年9月18日、国会正門前

「これしかない」という必然性をもった「提案」

 日本共産党は、戦争法が強行された昨年9月19日に、緊急の第4回中央委員会総会を開催し、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の「提案」を決定し、発表しました。私が強調したいのは、この「提案」が、「これしかない」という必然性をもった「提案」だということであります。

 第1に、この「提案」は、国民の運動のなかから必然性をもって出てきたものであります。私たちが、「安倍政権打倒」というスローガンを打ち出したのは、2014年7月の党創立記念講演会でのことでした。この提起は、大きな反響を呼びましたが、この時点では、私たちは、安倍政権に代わる政権構想を提唱するまでには至りませんでした。国政の緊急の転換の方向を提起するにとどまりました。情勢が政権構想を提唱するまで熟していなかったのであります。

 今回、私たちが「国民連合政府」という政権構想を提唱することを可能にしたのは、国民のたたかいでありました。戦争法案に反対する国民のたたかいは、法案に反対することにとどまらず、安倍政権の退陣を求める運動に発展しました。そのなかで「野党は共闘」「野党は頑張れ」というコールが全国でわき起こりました。この声に背中をおされて、野党は、法案阻止のために、最後まで結束して奮闘しました。そうした国民の運動に私たち自身も飛び込み、国民の声を真剣に受け止め、その熱気を体感して、そういうなかから「これしかない」と考え、必然的に生まれたのが、「国民連合政府」の「提案」であることを強調したいと思います。

 第2に、この「提案」は、現在の日本の政治の危機打開という点でも「これしかない」という必然性をもっています。

 戦争法強行によって、いま日本はどういう状況にあるでしょうか。日本の自衛隊が戦後初めて、外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれています。

 南スーダンにPKO(国連平和維持活動)として派兵されている自衛隊に「駆け付け警護」の任務が追加されようとしています。武力紛争状態となっている地域にこうした形で軍事介入することは、紛れもない戦闘行為にほかなりません。

 過激武装組織ISに対して、米国など一部の国ぐにが空爆などの軍事作戦を強化しています。対IS軍事作戦への自衛隊の参加について、政府は、この間の国会論戦で、「政策判断として考えていない」とのべつつ、「法律上は可能になる」と答弁しています。米国が軍事作戦をさらにエスカレートさせ、自衛隊の支援を求めてきたときに、それを断れるでしょうか。実は、オバマ政権が一昨年8月8日に対IS空爆を開始したのちに、米政府高官が日本政府関係者に「自衛隊による後方支援ができないか」と打診してきたことがあります。この時には、日本側は「安保法制の議論に影響を与えかねない」と断りました。しかし、戦争法を成立させてしまったいま、米国の要請を断ることは、決してできないでしょう。

 南スーダン、イラク、シリアが、「殺し、殺される」最初のケースになる現実の危険が差し迫っています。

 いま一つ、立憲主義の破壊という問題もきわめて深刻です。安倍政権は、戦争法強行にさいして、「憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できない」という戦後60年余にわたる政府の憲法解釈を、一内閣の専断で百八十度覆すという、立憲主義を乱暴に破壊するやり方をとりました。

 立憲主義とは何か。たとえ国会で多数をもつ政権党でも、憲法の枠組みに反する政治をしてはならないということであります。権力が、憲法を無視して暴走を始めたらどうなるか。独裁政治の始まりとなります。これは決して誇張ではありません。安倍政権が沖縄に対して行っている無法な暴政は、独裁政治そのものではありませんか。野党が、憲法53条にもとづいて公式に求めた臨時国会召集の要求を、安倍政権は握りつぶしました。ここでも憲法違反の独裁政治が始まっているではありませんか。戦争法強行と一体に、法治国家としての土台が崩されつつあることは、きわめて重大であります。

 このような戦争国家、独裁政治への道を、断じて許すわけにはいきません。憲法違反の戦争法は、廃止するしかありません。集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回することが必要であります。そのために、安倍政権を退陣に追い込み、これらの課題を実行する新しい国民の政府をつくろう。そして、そのために、野党は国政選挙で選挙協力を行おう。私たちの「国民連合政府」の「提案」は、現在の日本の危機打開のためにも、文字通り、「これしかない」という必然性をもった「提案」であることを私は強調したいと思うのであります。(拍手)

実現の可能性――野党共闘の実現のためにあらゆる知恵と力をつくす

 「国民連合政府」の実現の可能性はあるでしょうか。発表から3カ月半、国民的反響が広がっています。これまでわが党と接点がなかった方々も含めて、広範な方々から賛同と激励が寄せられていることはうれしい限りであります。メディアの注目も広がっています。応援の立場、批判の立場、いろいろありますが、私たちの「提案」が無視できない力を発揮しだしていることは、たいへんに重要であります。

 ここで野党間の話し合いについて報告しておきたいと思います。私たちは、この間、民主党、社民党、生活の党と党首会談などを行ってきました。社民党、生活の党からは、私たちの「提案」の方向でおおむね賛同をいただいており、たいへん心強いことだと考えております。民主党とは、いろいろなレベルで、いろいろな話し合いを続けていますが、率直に現状を報告しますと、今のところはまだ、「戦争法=安保法廃止と立憲主義回復」という政治的合意も、そのための政府をつくるという政権合意も、選挙協力の協議に入るという合意も、つくられておりません。

 「共産党アレルギー」と言う声も聞こえてきます。共産党に対する拒否感をなくすための努力は、私たちもさらに強めたいと思います。ただ、いま、日本の政治は、独裁政治を許していいかどうかの歴史的岐路に立っています。好き嫌いを言っているときではないのではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。真剣に日本の前途に責任を負う政党・政治家ならば、好き嫌いを乗り越えて、立憲主義・民主主義を取り戻すという国民的大義のために、手を結ぶべきときではないでしょうか(拍手)。さまざまな困難はありますが、私たちは、誠実に、粘り強く話し合いを続け、野党共闘の合意を達成するために、あらゆる知恵と力をつくす決意を申し上げたいと思います。

 昨年末、いくつかのうれしいニュースが伝えられました。

 一つは、地方からの変化であります。参議院選挙で(改選)定数1を争う熊本県で、12月23日、全国初めての市民・野党統一候補として弁護士の阿部広美さんが立候補を表明しました。戦争法反対をともにたたかった50の市民団体が、県内の野党5党と、連合、県労連に、(1)集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、(2)11の安全保障関連法の廃止、(3)日本の政治に「立憲主義と民主主義を取り戻す」――この3点を共通の目的に、野党各党が協議して統一候補を擁立することを求め、阿部さんという統一候補擁立へと結実しました。私たちは、勝利のために全力をあげるとともに、熊本のような筋の通った野党共闘を広げていくために力をつくすものであります。

 いま一つは、市民運動の発展です。12月20日、戦争法に反対してきた諸団体の市民有志のみなさんが、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を結成しました。市民連合は、方針として、戦争法廃止の2000万署名を「共通の基礎」に置き、(1)安全保障関連法の廃止、(2)立憲主義の回復(集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を含む)、(3)個人の尊厳を擁護する政治の実現――に向けて参議院選挙における野党共闘を求めています。私たちは、ともにたたかってきた市民運動のみなさんが、「もはや状況は座視できない」という強い思いで、こうした取り組みを開始したことを大歓迎するとともに、その提起をしっかりと受け止め、野党共闘を実らせるために、ともに手を携えて全力をつくす決意であります。

開始された国民の新しい歩みは、必ず新しい政治を生み出す力となって働く

 野党共闘と連合政府の成否の最大のカギとなるのは、国民の世論と運動であります。その要となるのが、「総がかり行動実行委員会」を中心に29の諸団体の「共同よびかけ」で昨年11月から開始された戦争法(安保法制)廃止の2000万の署名運動です。

 私は、新年にあたって、全国のみなさんに心からよびかけたい。5月3日の憲法記念日に向けて、この2000万を掛け値なしにやりきって、圧倒的な平和の流れをつくりだそうではありませんか。(拍手)

 私たちは、当面の参議院選挙を「国民連合政府」にむけた第一歩を踏み出す選挙とするために全力をつくします。同時に、その帰すうがどうなろうと、私たちの「提案」は、さきにのべたように「これしかない」という必然性をもった提案です。前途に紆余(うよ)曲折があっても、必ずこういう方向に日本の政治は進む。昨年開始された国民の新しい歩みは、必ず新しい政治を生み出す力となって働く。これが私たちの確信であります。

 みなさん。そういう展望と確信を持って、今年を、みんなで力をあわせて、「国民連合政府」の実現の扉を開く年とするために、知恵と力をつくそうではありませんか。(拍手)

安倍政権の暴走を止め、政治の転換をはかる年に

「安倍1強」というが――「自民党もこれだけ活力を失ったか」(元重鎮)

 年頭にあたって、私が、いま一つ、よびかけたいのは、今年を、安倍政権のあらゆる分野での暴走と正面から対決し、暴走を止め、政治の転換をはかる年にしようということであります。

 よく「安倍1強」ということが言われます。しかし、その実態は決して「強く」ない。もろさと弱さを抱えているということを強調したいと思います。

 たとえば、国民的基盤の衰退です。自民党は昨年、結党60年を迎えました。結党直後、1958年の総選挙では、自民党の絶対得票率は44%でした。ところが、2014年の総選挙での絶対得票率は17%にまで落ち込んでいます。自民党が国会で多数を得ているのは、ひとえに小選挙区制による「少数独裁」の結果にほかなりません。

 さらに、いま安倍政権が進めている主要政策は、ことごとく国民的には少数派です。戦争法、沖縄新基地建設、原発再稼働、TPP(環太平洋連携協定)、そして消費税10%への大増税――どれも安倍政権の政策は少数派であり、孤立しています。「永田町」と国民の間には大きなギャップがあります。もっとも、いまでは「永田町」といいましても、「永田町国会前」は新しい国民運動のメッカになっておりますから、正確にいえば「永田町の塀の中」と国民の間には大きなギャップがあるということです。

 くわえて、安倍政権になって自民党はウルトラ右翼=極右政党化しました。かつての自民党がもっていた保守政党としてのある種の寛容さ、多様性、ゆとりを失い、灰色のモノクロ政党=単色政党になってしまいました。

 昨年末に、NHKスペシャル「永田町・権力の興亡“安倍一強”実像に迫る」と題する番組が放映されました。そのなかでの古賀誠元自民党幹事長の発言はたいへん印象的でした。古賀さんは、自民党の現状について、「国民政党として一番大事な中間層をつかめなくなった。自民党もこれだけ活力を失ったか、きわめて深刻な党の状況だなと、率直に思います」と語りました。「1強」といわれる安倍・自民党ですが、その中身は、元党重鎮が、「自民党もこれだけ活力を失ったか」と嘆くような、深刻な空洞化に蝕(むしば)まれているのであります。

 こういう政権は、一見強いようにみえて、実はもろく弱い。国民の運動を広げ、野党が結束すれば必ず倒せます。

 みなさん。今年を、あらゆる分野で、国民の切実な要求にもとづく一致点での共闘――「一点共闘」を広げに広げ、安倍政権を退陣に追い込み、政治の転換をはかる年にするために、大いに奮闘しようではありませんか。(拍手)

「緊急事態条項」の危険――明文改憲を許さないたたかいを呼びかける

 ここで私たちが、強い警戒をもって対決すべき問題について触れておきたいと思います。昨年11月の閉会中審査での質疑で、安倍首相は、「緊急事態条項」の新設を改憲のテーマにすると表明しました。

 その危険性はきわめて重大であります。それは、改憲の本丸である憲法9条改定にむけた突破口というだけではありません。「緊急事態条項」を設けることそれ自体がどれだけ恐ろしいか。「自民党改憲草案」を読めば一目瞭然です。そこには、“内閣総理大臣は、日本有事、内乱などの社会秩序の混乱、大規模自然災害のさいに、緊急事態の宣言ができ、法律と同一の効力を有する政令の制定をすることができ、地方自治体への指示ができ、基本的人権の制限ができる”とあります。これはまさに「戒厳令」「独裁国家」そのものであり、絶対に許すわけにいきません。

 戦争法の強行によって、明文改憲の必要性がなくなったかのような議論がありますが、それはまったく違います。日本国憲法と絶対に両立しえない戦争法の強行は、明文改憲への衝動をさらに強めるものとなっています。その最初のきわめて危険な表れが「緊急事態条項」にあることを直視し、戦争法廃止のたたかいと一体に、安倍政権によるあらゆる明文改憲の企てを許さないたたかいを強めることを、私は心からよびかけるものであります。(拍手)

参議院選挙の勝利・躍進、強く大きな日本共産党を

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(写真)志位和夫委員長のあいさつを聞く党員=4日、党本部

自公と補完勢力に退場の審判、日本共産党の躍進を

 参議院選挙が、半年後に迫りました。参議院選挙では、憲法違反の戦争法を強行した自民、公明に退場の審判を下し、参議院で自民、公明とその補完勢力――「おおさか維新」を少数派に転落させなければなりません。憲法破りの政治を強行した勢力は、主権者・国民によって罰せられ、退場させられることを、日本の民主主義のルールとする選挙にしていこうではありませんか。

 与党を少数派に転落させるうえで、全国32の1人区でのたたかいは重要であります。1人区で勝利するためには、野党間で候補者の一本化をはかることが必要ですが、候補者を調整するためには、野党間で真剣な協議を行い、しっかりした合意をつくることが必要不可欠であります。真剣な協議としっかりした合意が必要です。わが党は、すべての1人区で野党共闘を実現し、自公を打ち負かすために、全力をつくす決意を表明するものであります。(拍手)

 同時に、日本共産党の躍進のために全力をあげます。次の二つの柱で躍進を訴えてたたかいます。

 第1の柱は、日本共産党の躍進で「戦争法廃止の国民連合政府」を実現しようという訴えであります。「国民連合政府」を提案した党として、共産党の躍進は国民への責任と肝に銘じて奮闘したいと思います。また、今回の「政府提案」が、一定の現実性をもって受け止められているのは、日本共産党を、この間の参議院選挙、総選挙で躍進させていただいたおかげであります。日本共産党のいっそうの躍進が、「国民連合政府」の実現の最大の力となることを訴えてたたかいます。

 第2の柱は、あらゆる分野での安倍政権の国民の民意そっちのけの暴走ストップ、政治の転換の願いを、日本共産党へという訴えであります。戦争法、沖縄新基地建設、原発再稼働、TPP、消費税10%への大増税、5年目を迎える大震災からの復興――どの問題でも、安倍政権の暴走に正面から対決し、国民的対案を示し、国民と共同してたたかう日本共産党の躍進こそ、日本の政治の抜本的転換の最もたしかな力になることを大いに訴えて、この選挙をたたかいぬこうではありませんか。(拍手)

 「比例代表を軸に」を貫き、全国が力をあわせて奮闘し、「850万票、15%以上」を達成し、比例で8人以上の当選を必ずかちとりましょう。全国13都道府県の2人区から6人区の複数区では、そのすべてで本気で必勝に挑戦しましょう。全国34県の32の1人区では、野党共闘を実現するための努力と、日本共産党躍進という二つの仕事に挑戦しましょう。この二つの仕事は決して矛盾するものではなく、相乗的に前進させることができるものであります。

 「国民連合政府」の実現のためにも、当面する参院選、総選挙で躍進をかちとるうえでも、強く大きな党をつくる仕事に、新たな情熱を傾けて取り組むことを、強く訴えます。昨年は、戦争法反対、安倍政権打倒のたたかいに国民とともに取り組むなかで、全国で8000人を超える新しい党員を迎えました。新しく党とともに人生を歩む道を選択された全国の同志のみなさんに、心からの歓迎のメッセージを送ります。(拍手)

 参院選にむけて、すべての支部が、「世代的継承」と「党勢倍加」――この二大目標を具体化し、新しい党員を増やし、党に新鮮な活力を迎え入れながら選挙戦をたたかうことをよびかけます。すべての支部と党組織が、「しんぶん赤旗」読者で、一刻も早く前回参院選時を回復・突破し、党勢の高揚のなかで選挙戦を迎えようではありませんか。

 1月24日投開票で沖縄県宜野湾市長選挙がたたかわれます。絶対に勝たなければならない選挙であります。名護市辺野古の新基地建設を前提条件とせず、一刻も早い、条件なしの普天間基地閉鎖・撤去を訴えるシムラ恵一郎候補の必勝のために、全国の支援を強くよびかけるものであります。(拍手)

「メッセージの伝え方」――相手への敬意をもち、対等な姿勢で

 参議院選挙で躍進をかちとるためにも、強く大きな党をつくるためにも、お互いに努力したい一つの問題をのべておきたいと思います。

 「しんぶん赤旗」1月1日付で、上智大学教授の中野晃一さんと「新春対談」を行ったさいに、わが党に対して一つの“注文”をいただきました。それは「メッセージの伝え方」という問題です。「自分たちは正しいから、それは伝わるだろうというのではなくて、伝えたい相手に対する敬意――若い人の言葉ではリスペクトというそうですが――、敬意をもち、主権者が主権者に語りかけるような対等な姿勢でいかにメッセージを伝えるかについて、共産党はすでにいろいろと努力していると思うが、もっといける、もっと謙虚に力を傾注してほしい」。こういう“注文”であります。

 私自身、「シールズ」や「ママの会」などのみなさんの活動に接して、彼ら、彼女らが、いかに普通の人々の気持ちにスッと響くメッセージを伝えるかについて、伝えたい相手への敬意、リスペクトをもち、徹底的に同じ目線で、主権者が隣の主権者に語りかけるようなやり方で、努力をしているかを痛いほど感じました。私たち共産党も、こうした市民運動の努力に、大いに学ぶ必要があると思います。

 また、いま国民一人ひとりが、これだけ個性豊かに、自分の生きた言葉で語りだしているときだけに、私たち共産党員も、一人ひとりの個性や素晴らしさを大切にして――、それこそ、素晴らしい個性をもった人々がつどっているのが日本共産党ですから、それを大切にして、生きた言葉、自分の言葉で訴えていく努力が、さらに必要だと思います。

 私たちのメッセージが、より多くの国民の胸に響くメッセージとなるように、新しい年にあたって、お互いに努力しようではありませんか。(拍手)

すべての国民の「個人の尊厳」を守り、大切にする社会をめざして

 最後に、「国民連合政府」が目的とする立憲主義の回復という課題が、国民一人ひとりにとってどういう意味をもつかについて、話したいと思います。

 安倍政権の政治の特徴を一言で言うならば、「国家の暴走で個人の尊厳を踏みつぶす政治」といえると思います。それは、戦争法、沖縄、原発、TPP、経済、消費税――あらゆる問題に表れています。それはまた、この政権が唱える「1億総活躍社会」、「たくさん産んで国家に貢献」などのフレーズにも表れています。要は、“国家のために働け、国家のために子どもを産め”ということです。

 ここでは国家と個人の関係が逆立ちしています。国家のために個人があるのではありません。個人の幸せのためにこそ国家はあるのではないでしょうか。

 これは日本国憲法第13条が国家に命じていることであります。憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される」とあります。ここには憲法の核心となる理念が凝縮されています。憲法学者で東大名誉教授の樋口陽一さんは、「近代立憲主義にとって、権力制限の究極の目的は、社会の構成員を個人として尊重することにほかならない」と言われています。その通りだと思います。「国民連合政府」が掲げる「立憲主義の回復」とは、平和の問題だけではなく、民主主義の問題、暮らしの問題のすべてにおいて、国家によって侵害を受け、傷つけられている「個人の尊厳」を回復し、守り、大切にする社会をつくろうということにほかなりません。それは豊かな広がりをもつ、きわめて積極的な課題であるということを、私は、強調したいと思うのであります。

 そして、私たちが理論的基礎としている科学的社会主義が、近代民主主義の最も中核的な理念である「個人の尊重」「個人の尊厳」を、発展的に引き継ぎ、豊かにしているということも強調したいと思います。

 共産党というと「全体主義」「個人否定の集団主義」という見方がありますが、とんでもない誤解であります。マルクスが、人間解放のもっとも中心的な問題として位置づけたのは、「すべての個人の自由で全面的な発展」ということでありました。わが党の綱領は、科学的社会主義のこの立場にたって、私たちが目指す未来社会の特徴として、「社会のすべての構成員の人間的発達を保障する」と明記しています。

 そうした大きな展望も視野に入れながら、「国民連合政府」に挑戦しようではありませんか。今年を、日本の政治の変革という点でも、日本共産党の躍進という点でも、新しい歴史をつくる年にしていくために、力をつくして奮闘しようではありませんか。

 以上をもって、年頭にあたってのあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)


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