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2015年12月31日(木)

マイナンバー あす運用開始

番号通知は未完了 安全対策も未確立

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(写真)「マイナンバーはいらない」とデモ行進する市民ら=10月3日、東京都渋谷区

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(写真)各世帯に配られているマイナンバーの通知カード

 安倍内閣は、日本に住民票を持つ一人ひとりに12桁の番号を付けて管理する共通番号(マイナンバー)制度の運用を来年1月から始めようとしています。番号制は、政府が個人情報を一つの番号で管理し、税・保険料の徴収強化や社会保障の抑制をすすめるために使うもの。現状では運用開始の条件などまったくないのが実態です。

 日本郵政は17日、個人番号を記載した「通知カード」の「初回配達」が、印刷漏れなどがあった一部を除いて完了したと発表しました。しかし、郵便局が配達を引き受けた約5684万通のうち、24日時点で住民の手元に渡ったのは約5126万通に過ぎず、受取人不在などで市区町村に戻された「通知カード」は約558万通。1割近くにも及んでいます。

 政府は、税や社会保障などのさまざまな手続きで個人番号を記入させる予定ですが、番号の通知という前提が崩れています。

4割未着手

 重大なのは、安全対策が未確立なことです。

 マイナンバー制度の運用を監視するために1月から発足する「個人情報保護委員会」は、安倍政権が臨時国会を開かなかった影響で国会同意人事の議決が年内に得られず、欠員を抱えたままのスタートとなります。地方自治体の対策も2016年度予算案でも対策費を盛り込むなどまだこれからです。

 大半の民間企業でも対応が遅れています。日本商工会議所が11月30日に発表したマイナンバーへの対応をたずねた調査によると、「(対応が)ほぼ完了している」と答えた企業は、わずか13・9%。一方、「対応する内容は分かっているが、準備にはまだ着手できていない」が21・8%、「具体的に何をすべきか分からない」が19・5%、合わせて41・3%の企業が対応に“着手していない”状態でした。

新たな問題

 新たな問題点も次々浮上しています。

 1月から、申請した希望者には、顔写真付き、ICチップ搭載の「個人番号カード」の交付が始まります。そのさい、役所での交付時の本人確認に「顔認証システム」が導入されます。新たな人権侵害やトラブルを引き起こすものです。

 「個人番号カード」は当面、身分証明書ぐらいにしか使えません。しかし、政府は15年度予算、同補正予算案、16年度予算案で合計3000万枚分もの発行費を計上。「メリット」だけを大げさに宣伝して取得を促しています。普及とともにさまざまな機能や個人情報をカードに追加していくことをねらっています。しかし、個人情報は蓄積すればするほど、漏えいしたときの被害も深刻になります。矛盾は避けられません。

 申請での番号記載をめぐる問題では、介護保険に関して番号の記載がなくても申請書類は受理され、サービスを受けられることを明記した通知が15日に厚生労働省から出されました。強制しようとすればするほど問題点が発生し、矛盾が生じています。1月からの運用は中止し、危険な共通番号制度は撤回するしかありません。


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