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2015年12月29日(火)

安倍首相が狙う 明文改憲で「緊急事態条項」

おおさか維新と連携

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 憲法破壊の戦争法を強行した安倍晋三首相が、来夏の参院選で改憲発議ができる「3分の2」以上の議席確保を狙い、橋下徹前大阪市長らが国政政党として立ち上げた「おおさか維新の会」とも連携・協力しながら、明文改憲へと突き進む野心を強めています。

会食で盛り上がる

 「(おおさか維新の会の)橋下氏と代表の松井一郎大阪府知事、そして安倍首相は、来年の選挙で勝つことを前提に憲法改正について話している。内容は『緊急事態条項』になる。公明党の『加憲』論との関係でも、『緊急事態条項』の追加はふさわしい課題だ。フランスのテロ事件を受け、2020年の東京五輪を展望している」

 東京都内のホテルでの3時間半にわたる3氏の「会食」(19日)の内容について「おおさか維新の会」の関係者はこう語ります。菅義偉官房長官は、この「会食」について「改憲の中身など具体的な話はしていない」と表向きは打ち消しました。しかし、自民党関係者も「憲法改正の話で盛り上がった。『緊急事態条項』の話も出た」と維新側と同じ証言をしました。

独裁的権力を創出

 取りざたされる「緊急事態条項」とは何か。自民党が政権復帰を目指すうえで2012年4月に発表した党改憲草案98条に盛り込まれた条項です。

 「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」において、内閣総理大臣は「緊急事態の宣言」を発することができると規定。同条項の創設は、11年3月11日の東日本大震災と福島原発事故を受けて改憲派が持ち出したもので、「大規模な自然災害」を口実に、有事の独裁的権力を創出するのが狙いです。

 16日には、衆院憲法審査会の保岡興治会長(自民)が、首相官邸で安倍首相に会い、来月4日から始まる通常国会で改憲を視野に入れた与野党論議の再開を目指す考えを伝えています。改憲の優先テーマに挙げたのもこの「緊急事態条項」で、安倍首相は「しっかり頑張ってほしい」と応じています。

戦争する国づくり

 自民党改憲草案の「緊急事態条項」は、「緊急事態」の例示の第一に「外部からの武力攻撃」を明記しているように、「戦争する国」づくりの一環です。「大規模の自然災害」は口実にすぎません。

 自民党改憲草案99条では首相の「緊急事態の宣言」のもと「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」と規定。同3項で「何人も…国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」としています。

 つまり、内閣は国会の制約もなく、法律と同様の命令(政令)を出すことが可能になり、国民に服従義務が発生します。有事における権力集中と人権停止が「緊急事態条項」の本質です。

 フランスでは、シリア空爆を続けながら、今も対テロ「緊急事態」が継続しています。戦争法が発動され、有志連合による過激組織ISへの攻撃支援に自衛隊が参加すれば、日本がテロの標的とされる危険はいっそう高まります。その危険と一体に、憲法に軍事優先の規定を盛り込むことは、テロと戦争を呼び込みながら、憲法を変質させる危険で愚かな道です。

(中祖寅一)


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