2015年12月16日(水)
沖縄・宜野湾市長選 告示まで1カ月
「オール沖縄」シムラ氏か 安倍政権と一体現職市長か
普天間基地 移設条件なし「閉鎖・撤去」こそ
新基地建設をめぐって安倍政権が沖縄県知事の埋め立て承認取り消し処分の撤回を求めて提訴するなど国家権力総がかりで襲い掛かっているもとで、沖縄と日本の未来がかかった沖縄・宜野湾市長選の告示(来年1月17日)まであと1カ月となりました。翁長雄志(おながたけし)知事とともに普天間基地の「閉鎖・撤去」を掲げた「建白書」の実現めざす「オール沖縄」のシムラ恵一郎予定候補(63)と、安倍政権と一体の現職・佐喜真淳市長(51)との一騎打ちとなる見込みです。辺野古の新基地建設阻止にとっても、全国的意義をもつ重要な選挙となっています。 (取材団)
「固定化」の最大要因は移設条件つき
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「戦後70年間も過重な基地負担を負わされている県民の総意は、基地負担の軽減だ。県内移設に反対する翁長知事や県民と団結して日米両政府に働きかけ、普天間の閉鎖・返還を実現したい」
シムラ予定候補はこうのべて、「一刻も早い閉鎖・返還を求めます」(市民への10の約束)を公約しています。2013年1月、県内41市町村長と市町村議会議長などが署名した「建白書」の実現でもあります。
翁長知事が「代執行訴訟」の陳述書で指摘しているように、「普天間基地の原点は戦後、住民が収容所に入れられているときに米軍に強制接収をされたことにあります」。この事実を黙殺し、「世界一危険な基地」を声高に主張し、代替基地を差し出せという主張には、ひとかけらの道理もありません。ただちに閉鎖・撤去するのがスジです。
ところが、日本政府は「移設条件つき」の返還に固執。安倍首相は「(普天間の)固定化は絶対に避けなければならない」として辺野古新基地を「唯一の解決策」といいますが、「返還合意」から19年間も普天間基地が動かなかったのは「移設条件」つきだったからです。「辺野古移設」への固執こそ最悪の普天間「固定化」なのです。
現市長は、「普天間飛行場の危険性の除去」「基地負担軽減」はいうものの、辺野古新基地建設についてはっきり語ることは避けています。「移設条件つき」を容認する態度では、逆に「危険性の固定化」が続くことになります。
権力総がかりで襲い掛かる選挙
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安倍自公政権は、宜野湾市長選挙に、政府・与党ぐるみで襲い掛かっています。
今月4日には、普天間基地東側の4ヘクタール返還を、12日には3月末に返還された西普天間住宅の跡地利用のための新たな交付金制度の創設などを突如、発表。さらには、上京した現市長に、ディズニー・リゾート誘致を約束するなど、利益誘導といえる施策を次々と打ち出しています。
地元メディアも基地細切れ返還に、「来年1月の宜野湾市長選挙をにらみ、現職を後押しする狙いがあるのだとすれば、政治の劣化でしかない」(琉球新報6日付社説)と指摘。基地跡地へのディズニー・リゾート誘致にも自民党県連関係者が「初めて聞いた」と驚くほど。権力を使った選挙対策そのものです。
11月下旬には、自民党の茂木敏充選対委員長が沖縄入り。「宜野湾市長選は来年最初のきわめて重要な選挙だ」と強調し、経済団体との会合などをはしごしました。
権力総がかりの背景には、「宜野湾市長選で負ければ来年6月の県議選にも相当の影響がある」(自民党県議の一人)という危機感があります。
県民見下す政府に絶対負けられない
3000人の熱気にわいた、9日のシムラ陣営総決起大会。県議会開会中にもかかわらず駆けつけた翁長知事は「シムラ恵一郎さんというすばらしい候補者をかつぐことができた。政府は県民を見下すようなやり方で民意をねじまげようと狙っている。ディズニー・リゾートを誘致する話も降って湧いてきた。こんなことで沖縄の政治をゆがめさせたらウヤファーフジ(祖先)に顔向けできない」と訴えました。
稲嶺進名護市長も訴え。「シムラさんの当選によって、県知事と宜野湾市長、名護市長がそろって安倍政権に普天間基地の即時閉鎖・撤去、辺野古新基地建設断念を迫る。安倍首相の3本の矢よりも強い3本の矢ができる」
シムラさんは、立候補を決意してからの2カ月間、走りに走ってきました。基地問題と同時に暮らしの問題でも、▽待機児童ゼロ、中学生までの医療費無料化など子育てナンバーワンの都市を目指す▽基地をなくし、雇用の拡大、経済の発展▽活気ある国際色豊かなまちづくり―などを掲げています。
シムラ予定候補は「この選挙に勝ち、翁長知事を支える意志を示していく。絶対に負けられない選挙」と力を込めました。
シムラ陣営は、23日に懇談会、来年1月4日に4地域事務所で決起集会、11日には日本共産党の山下芳生書記局長を迎えた総決起集会を計画しています。