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2015年12月1日(火)

公的年金 運用損失7.8兆円

7〜9月 過去最大 安倍政権の株運用拡大で

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 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は30日、2015年7〜9月期の運用損益が7兆8899億円の赤字に転落したと発表しました。赤字は6四半期ぶりで、四半期の赤字額としては過去最大。国内株式、外国株式が株価下落によって赤字を計上しました。安倍晋三政権が進めた、公的年金による株価つり上げ政策が、年金に巨額の損失をもたらしました。

 7〜9月期の資産別の運用損益をみると、国内株式が4兆3154億円の大幅な赤字。外国株式も3兆6552億円の赤字を計上しました。外国債券も2408億円の赤字でした。国内債券は3022億円の黒字を確保しました。運用実績を示す収益率はマイナス5・59%(4〜6月期はプラス1・92%)に悪化しました。

 安倍政権の要求でGPIFは昨年10月、公的年金の資産構成を見直し、国内株、外国株の構成比率をそれぞれ従来の12%から約2倍の25%に引き上げることを決めました。その結果、数十兆円の新たな資金が株式市場に流れ込むことになり、「官製相場」を演出しました。しかし、8月以降、国内外の株価が急落したことで、保有する株式の評価額が大きく下落しました。

 9月末時点の運用資産額は135兆1087億円(6月末時点141兆1209億円)。年金積立金全体の資産構成割合は、株価下落に伴い、国内株式が21・35%(同23・39%)、外国株式が21・64%(同22・32%)にそれぞれ低下。一方、国内債券は38・95%(同37・95%)に上昇し、外国債券も過去最高の13・6%(同13・08%)となりました。

解説

問われる積立金の政治利用

 公的年金の資産運用で四半期として過去最大の損失を出したことは、アベノミクスのために、危険な株式運用を拡大させた安倍内閣の責任が問われます。

 年金の運用は、被保険者のために安全・効率的に行うことが定められ、国債60%、日本株12%、外国株12%とされてきました。

 ところが、安倍首相は「成長への投資に貢献する」といって「成長戦略」のために運用見直しを要求。これを受けて昨年10月、日本株25%、外国株25%まで2倍以上に高める一方、国債は35%まで引き下げました。日本株はさらに9%まで拡大できるなど最大67%、資産130兆円のうち87兆円を株式運用できるようにしました。

 今回の事態は、こうした危険な株式運用拡大が招いたものです。国民の年金を「マクロ経済スライド」を発動して抑制しながら、国民の納めた保険料である積立金を、政権維持のために危険にさらす姿勢が問われます。

 アメリカでは公的年金は非市場性国債で運用するなど、諸外国では最低保障部分は運用リスクから守ることが基本となっています。危険な株式運用拡大をやめて、安全・確実な運用の原則に立ち返るべきです。

 (深山直人)


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