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2015年11月24日(火)

「1億総活躍社会」各省案

「国家に貢献」色濃く

サービス向上、人材確保の裏付けなし

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 安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」で、近くまとめる緊急対策に関する各省の基本的政策が出ました。「政策的裏付けのない望ましいゴールを示しただけ」(「日経」)といわれる状態から変わったのでしょうか。


 安倍晋三首相が「新3本の矢」と称して掲げる「介護離職ゼロ」や「希望出生率1・8」の目標達成に向けて、特別養護老人ホーム(特養)や保育所の「受け皿」整備を打ち出しました。

■待機数に及ばず

 特養は、現計画を6万人分増やすだけで、52万人の待機者に遠く及ばない内容です。

 事業者が所有しなければならない建物について、借りた建物でも認める規制緩和を行う一方、介護人材を確保する上で不可欠となっている抜本的な処遇改善はみられません。

 介護離職を防ぐといっても、現行の93日間の介護休業を3回ぐらいに分けて取得できるようにする程度です。

 すでに介護報酬の削減で介護事業者が廃業に追い込まれたり、利用者の負担増でサービス抑制が広がっています。これでは介護サービスの拡充につながらないことは明瞭です。

■営利企業が参入

 子育て分野では、保育所などの整備目標を40万人から50万人に引き上げるものの、増え続ける待機児童にはほど遠い目標です。保育士のいない施設を導入し、営利企業の参入拡大など、保育水準を引き下げて整備を進める方針です。保育士確保については「さらなる処遇改善を検討」とするにとどまっています。

 長時間過密労働と非正規雇用の拡大を野放しにした結果、男性も女性も子育てと両立する基盤が掘り崩されてきました。こうした問題を解消する方策は示されていません。

■安価な労働力に

 「新3本の矢」で打ち出した「希望を生み出す強い経済」とセットで押し出されているのが、「労働力確保」の名で若者や女性、高齢者を安価な労働力として活用することです。

 高齢者に関しては「生涯現役社会」と称して、「シルバー人材センター」の利用拡大を打ち出しています。高齢者を労働基準法も適用されない無権利で安上がりの労働力として活用する方針です。

 経団連などは「500万人の雇用拡大」とぶちあげていますが、これでは新たな貧困層を拡大するだけです。

 さらに強調されているのが、「一人ひとりの労働生産性の向上」です。長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ制度」の導入など労働法制の規制緩和による「生産性向上」です。

 「新3本の矢」をめぐっては菅義偉官房長官が、“子どもを産んで国家に貢献して”と発言し、戦前の「産めよ増やせよ」のような国家優先の発想だと批判を浴びました。労働力の確保でも、“国家と企業の発展のために一人残らず働け”という戦前の「国家総動員体制」をほうふつとさせる内容です。

(深山直人)


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