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2015年11月23日(月)

東大駒場祭

志位さん、母校で「国民連合政府」語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は22日、母校、東京大学の駒場キャンパス(東京都目黒区)で開かれた駒場祭で「民主主義の新時代を拓(ひら)くために―『戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府』について」と題して講演し、学生らの質問にていねいに答えました。志位氏が駒場祭で講演するのは11年ぶり。開会40分前には屋外に参加者の列ができ、会場の教室は600人以上でうまり、立ち見がでる盛況ぶりでした。主催は民青同盟東大駒場班です。


写真

(写真)講演する志位和夫委員長=22日、東京・東大駒場キャンパス

 志位氏は、なぜ戦争法廃止か、「国民連合政府」の目的・性格とは、その可能性はあるのかなど、事前によせられた学生の疑問に答える形で「国民連合政府」提案のポイントを詳しく語りました。

 このなかで志位氏は「戦争法強行によって、いま日本はどういう状況にあるか。それを根本から考えてみたい」として、「二つの極めて深刻な危険に直面しています」と告発しました。

 一つは、「自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、自衛隊員から戦死者を出す危険が生まれている」ことです。その現実的危険として、南スーダンにPKO(国連平和維持活動)として派遣されている自衛隊の「駆けつけ警護」などの任務拡大などの問題を強く警告しました。

 いま一つは、立憲主義破壊の大問題です。志位氏は、「権力が憲法を無視して暴走すれば独裁政治の始まりです。今の日本は独裁政治を許すかどうかの瀬戸際にきています」と強調。沖縄県民が一丸となって、「オール沖縄」で名護市辺野古への米軍新基地建設に反対しているのに、安倍政権が無法なやり方で新基地建設を押しつけている例をあげ、志位氏は「戦争法と、沖縄への暴圧は立憲主義・民主主義の破壊という点で根が一つのものです」と強調しました。

 「こんな状態は一刻も放置できません。戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義・民主主義を取りもどすたたかいを広げましょう」と訴えました。

国際社会が一致結束してのテロ対策を提唱

 志位氏は、戦争法廃止にかかわって、「世界からどうやってテロを根絶するか」「北東アジアの平和と安定をどうやって築くか」という二つの問題に言及しました。

 このなかで志位氏は、2001年の米国によるアフガニスタン報復戦争後テロが急増し、03年のイラク戦争は過激組織ISの台頭の要因になったことを解明。「空爆など軍事作戦の強化では問題は解決しません。逆に憎しみの連鎖をつくりだし、テロと戦争の悪循環をつくりだすことになります」と警鐘を鳴らし、国際社会が一致結束してとるべき対策として次の4点を提唱しました。

 第一に、国連安保理決議にもとづき、テロ組織への資金提供の遮断、テロリストの国際的移動の阻止、テロリストの武器入手の防止など、テロ組織を直接抑える。

 第二に、貧困や政治的・宗教的差別など、テロの土壌となっている問題をなくしていく努力を行う。

 第三に、シリアとイラクでの内戦、混乱を解決し、平和と安定をはかるための政治的・外交的努力をはかる。

 第四に、難民として苦しんでいる人々の人権を守り抜くための国際的な支援を抜本的に強める。

 そのうえで志位氏は、パリ同時テロで妻を殺害されたジャーナリスト、アントワーヌ・レリス氏が、実行犯に対して、「私は君たちに憎しみの贈り物をあげない」というメッセージをのべたことが世界に大きな感動を広げていることに言及し、「何よりも大切なことは、憎しみの連鎖を断ち切るための国際社会の一致結束したとりくみです」と語りかけました。

 志位委員長は、テロにかかわっての戦争法の危険について、米国からIS空爆への協力要請があったときに、戦争法によって断れなくなることをズバリ指摘しました。「それは日本が『憎しみの贈り物』をすることになります。また、それによって日本国民をテロの危険にさらすことにもなります。絶対にそういう道を許してはなりません」と力をこめました。

 また、志位氏は、政府・与党からテロ対策として、「共謀罪」の創設を狙う発言が相次いでいることに対し、「犯罪の具体的行為があって初めて罰するという刑法の大原則を大きくゆがめるものです。国民一人ひとりの内心まで処罰の対象にする憲法違反の法律です」と批判。「テロをなくすこととは何の関係もない。最悪のテロの政治利用です。こんな無法は絶対に許してはなりません」と訴えました。

 志位氏は講演の最後に「国民連合政府」が掲げる立憲主義回復が国民一人ひとりにどういう意味をもつのかと問いかけ、「近代立憲主義にとって、権力制限の究極の目的は、社会の構成員を個人として尊重することにほかならない」とする樋口陽一東大名誉教授の言葉を引用し、憲法13条で定めたすべての国民の「個人の尊厳」を守り大切にする社会をつくることになると力説しました。

 「国民連合政府で米国との関係はどうなるのか」、民主党などとの関係で「野党共闘実現の可能性はどれくらいか」などの質問が相次ぎ、志位氏は一つひとつていねいに答えました。

 講演に先立ち、「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人の石田英敬東大教授がビデオメッセージを寄せ、「国民連合政府」の実現に向けた大同団結の期待を述べました。

 知人に誘われて参加した東大院生2年の男性(24)は「国民連合政府が野合ではない、大義のもとで大同団結するものだと話していたのがかっこいいと思った。志位さんのテロ対策の四つの提案も現実的だし、ぜひ実現できるように頑張ってほしいと思いました」と語りました。


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