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2015年11月6日(金)

首相の「強い経済」 日本をどこに導く

GDP600兆円へ 財界「大胆な策を」

経済の軍事化で 「富国強兵」を狙う

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 安倍晋三首相が打ち出した「新3本の矢」の最初に掲げるのは「強い経済」です。GDP(国内総生産)600兆円の実現を強調しています。財界は、その提起に勢いづき大企業本位の露骨な政策実現を政権に求めています。この路線は、日本経済をどこに導くのでしょうか。 (金子豊弘)


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 「本日、この日から、アベノミクスは第2ステージへと移ります」。安倍首相は自民党総裁に再選された9月24日の記者会見で、こう宣言しました。

経済の土台崩壊

 「第2ステージに入った」というアベノミクス。安倍首相は「GDP600兆円の達成を明確な目標として掲げたい」と胸を張りました。

 喝(かっ)采(さい)をおくったのは財界でした。

 首相会見を受けて経団連の榊(さかき)原(ばら)定(さだ)征(ゆき)会長は、「総理の意気込みを感じた」(9月28日会見)とし、「具体的な政策をこれからしっかりと立てていくということが一番のポイント」と発言しました。

 経団連は「新内閣に望む」(10月13日の提言)の中で「政・官・民が連携し、あらゆる政策や手立てを総動員しなければならない」として「政策総動員」を求めました。

 ▽法人実効税率の20%台への早期引き下げ▽2017年4月の消費税10%への増税▽社会保障の抑制▽原発再稼働▽環太平洋連携協定(TPP)の速やかな発効―など10項目の課題を列挙しました。

 経済同友会は資本、労働、イノベーション分野に焦点を絞った「大胆な対策」が必要だとして、「岩盤規制の撤廃・緩和」を求めています。

 これまでの大企業応援の「アベノミクス」によって企業の経常利益は史上最高を更新しています。ところが労働者の賃金上昇には回らず、内部留保が増えただけというのがこの間の実態です。設備投資の伸びも低調です。麻生太郎財務相も「(設備投資は)リーマン・ショック以前までは戻っていない」と嘆いています。

 今後、財界が言う「政策総動員」で「大胆な対策」を行った場合、日本経済はどうなるのでしょうか。

 法人実効税率の引き下げで、大企業の税負担はいっそう軽減されます。経済財政諮問会議の場で民間議員である高橋進日本総合研究所理事長も「来年度に法人実効税率を20%台に引き下げるべきであるが、その際、企業の内部留保が拡大していくということだけであると、国民の理解を得ることはなかなか難しい」(10月16日)と述べざるをえません。

 今後ますます必要となる社会保障費を消費税増税でまかなうとなれば国民は、負担増と社会保障の切り捨てを同時に押し付けられることになります。労働法制のいっそうの緩和で長時間・低賃金・不安定労働が拡大します。

 大企業がさらにもうけをあげたとしても貧困と格差が広がり、暮らしと経済の土台が破壊されてしまいます。

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(写真)TPPは撤回するしかないと首相官邸前で抗議をする人たち=10月22日、東京都千代田区

地域社会が崩壊

 安倍政権はTPPを「強い経済」の柱に位置づけています。

 日米を含む12カ国で「大筋合意」したTPPは、市場開放分野では、全品目の95%で関税を最終的に撤廃します。過去に締結したどの協定よりも高い割合です。国会決議が交渉対象にしないよう求めた農産物重要5項目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)でも、586品目のうち174品目、約30%で関税を撤廃します。

 関税撤廃の影響は重大です。農林水産省の影響分析でも、米・麦の国産価格が下落すると予測しています。

 経営への影響について日本農業新聞の農政モニター調査(10月28日付)では、「悪化する」「やや悪化する」とした割合は、合わせて7割を超えました。地域経済を支える農業に破壊的な打撃を与えずにはおきません。

 さらにTPPは、食の安全・安心を危険にさらし、外国企業が相手国政府を相手取って訴訟を起こせる投資家対国家紛争解決(ISDS)条項を設定するなど、多国籍企業の利益拡大を優先し、経済主権を著しく侵害します。

軍事産業を強化

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 安倍首相は今年、訪米先の講演(4月29日、笹川平和財団米国主催のシンポジウム)で自身の経済政策アベノミクスと軍拡が「表裏一体」だと強調しました。

 「デフレから脱却をして、経済を成長させ、そしてGDP(国内総生産)を増やしていく」「当然、防衛費をしっかりと増やしていくこともできます」

 10月1日には防衛省と陸海空自衛隊の武器取得関係部門を集約・統合した防衛装備庁が発足しました。武器輸出や国際共同開発・生産を推進し、米国を中心に軍事協力を深化させ、日本国内の軍事産業の育成・強化を図ることです。職員体制は1800人です。

 一方、中小企業の育成・発展に必要な条件を整備することを目的とした中小企業庁の職員数は188人にすぎません。防衛装備庁の1割。経済の軍事化をテコに日本経済の低迷を打開しようという安倍政権の狙いがこめられています。

 あからさまな安倍政権の「富国強兵路線」は、経済の面からも憲法を破壊しようとしています。


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