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2015年10月18日(日)

「新3本の矢」子育て支援

「待機児童ゼロ」打ち出すが

政府プラン行き詰まり

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 安倍首相は「新3本の矢」で「待機児童ゼロを実現する」と打ち出していますが、待機児童数は増える一方――行き詰まりが明らかとなっています。

 希望する保育所に入所できない「待機児童」を解消するため国は、基準の低い施設も認可施設とするなど、受け皿を約14万6000人分増やしました。それでも、申込者が13万1410人(対前年度比)増えたため、2015年度の待機児童は2万3167人(1796人増)となりました。

待機児増加

 待機児童を少なく見せかけようと、認可保育所より基準が低い小規模施設などに入っていれば待機児童にカウントしないなど、待機児童の定義を改悪したにもかかわらず、減少どころか増える結果となっています。

 安倍政権は、2017年末までに受け皿を40万人分増やす「待機児童解消加速化プラン」を示しています。“解消加速”とありますが、保育ニーズにもとづく必要量を低く見積もったり、3歳までの小規模保育施設だけを増やす自治体の計画を積み上げただけの「受け皿」です。

 保育研究所の村山祐一所長は、「今回の待機児童数の増加には、『育休の延長』など自治体独自の解釈で集計から外す“隠れ待機児童”数は反映されていません。現在の整備計画では、まったく足りないことを示している」と、待機児童対策の行き詰まりを指摘します。

 大田区(東京都)は、待機児童が459人減り減少幅でトップとなりました。実際には、認可保育所に入れなかった子どもの数は1708人(2次不承諾数)にものぼります。そのうち約400人が小規模保育、約1300人が認証保育所などに入所したため、見せかけ上で減っただけです。

 日本共産党の金子悦子区議は、「国に上げた待機児童数で対策をしても、決して区の待機児童は減りません。最低でも1700人の待機児童の受け皿を認可保育所で計画を立てるべきです」と強調します。

“質より量”

 待機児童数が8人と報告される横浜市。新設の認可保育所56カ所(14年度、15年4月開設分)のうち株式会社立が26カ所にのぼります。同市では、鉄道の高架下にも認可保育所がつくられ、“質より量”が優先だと問題にされています。

 “2年連続ゼロ”だという名古屋市も、昨年度の新設32カ所のうち空き店舗などを利用する「賃貸型」が26カ所で8割を占めます。

 村山氏は、「子ども・子育て支援新制度になっても、国と自治体の保育への公的責任には変わりなく、正確な待機児童数の把握は、安心して地域で子育てできる体制整備の大前提です。『新3本の矢』で“待機児童解消”というのであれば、国は、自治体任せの対策を改め、潜在的ニーズも含めた把握を自治体に求め、その積み上げから認可保育所の増設計画をつくるべきです」と強調します。

 (鎌塚由美)

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