「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年9月21日(月)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 俳句の季語の中には生活の変化によって使われなくなった言葉があります。砧(きぬた)もその一つです▼昔の衣類は硬い布でできていたので、木の棒に布を巻いた砧でたたいて柔らかくしました。冬着の支度だったので、砧を打つ音が秋を表しました。夜しみじみと響いたそうです▼中国・漢代の武将、蘇武は異民族に捕まり、19年後に解放されます。辺境で虜囚となった蘇武のもとに、妻が打った砧の音が届いたという故事から、砧は、遠く離れた所にいる夫の帰りを待つ妻の悲しみを示すものとして日本の古典文学にも登場します▼世阿弥の能「砧」では、都に行ったきり戻らぬ夫を待つうちに亡くなった妻が亡霊となって夫に恨みをぶつけます。「君いかなれば旅枕、夜寒の衣うつつとも、夢ともせめてなど、思い知らずやうらめしや」(秋の夜寒に砧を打ったのを旅先の夢で悟ってくださらなかったのでしょうか。恨めしい)と▼中国では故事の通り、出征した夫の帰りを待つ妻の思いが砧に込められました。「長安 一片の月/万戸 衣を擣(う)つの声」で始まる李白の詩が知られています。砧を打つ音は「総(すべ)て是(こ)れ玉関の情」。国境の玉門関にいるあなたへの思いだと歌います。「何(いず)れの日にか胡(こ)虜を平らげて/良人遠征を罷(や)めん」▼砧がなくなっても、戦争に駆り立てられた兵士の帰りを待つ家族の思いは変わりません。そんな家族がいる世ではすべての人が不幸になることでしょう。戦争法の発動を許さず、戦争法を廃止するまでたたかいは続きます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって