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2015年9月8日(火)

東芝、粉飾2248億円

15年3月期は378億円赤字

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過去決算を訂正

 東芝は7日、粉飾決算問題を受け、2009年3月期から14年4〜12月期の連結決算の訂正を発表しました。利益のかさ上げなどを是正した結果、累計の下方修正額は税引き前損益で2248億円、純損益で1552億円となりました。発表を2度にわたり延期していた15年3月期の連結決算も併せて公表し、粉飾発覚前に1200億円の黒字を見込んでいた純損益は、378億2500万円の赤字に転落しました。赤字は5年ぶり。

 税引き前損益の累計修正額は8月18日に発表した概算から118億円増加しました。15年3月期についても、事業の収益性を見直したところ、半導体、米原発事業などで損失が拡大しました。

 一方、06年に米原子炉メーカーのウエスチングハウスを買収した際ののれん代約4000億円の減損処理は見送りました。

 15年3月期の決算を記載した有価証券報告書の提出期限は本来6月末でしたが、東芝は粉飾の調査のため提出を8月31日に延期。しかし、不適切な会計処理の疑いが新たに生じ、当日になって9月7日に再延期していました。

 東芝は同日、新たな経営体制も発表。取締役11人のうち7人を社外から起用し、取締役会議長には資生堂の前田新造相談役が就任します。社内取締役は4人のうち2人を入れ替え、綱川智執行役上席常務が副社長に就く人事を内定しました。9月30日に開催する臨時株主総会での承認を経て決定します。

 また、再発防止策として、粉飾会計の温床となった短期的な業績見込みを検討する「社長月例」会議を廃止し、将来の業績改善策を話し合う「業績報告会」を開始します。


 減損処理 企業が持つ土地や建物、機械などの資産の収益力が低下したときに、資産の価値を減らして損失として計上する会計処理のこと。東芝の場合、過去にかさ上げした利益を下方修正することになったため、工場や設備の収益力が下がったと見なされ、減損処理が必要となります。


国あげての粉飾支援

原子力事業を減損せず

 東芝の粉飾の全貌はなお闇のなかです。本丸とされる米原子炉メーカー、ウエスチングハウス(WH)を買収した際ののれん代に、いっさい手がつけられていないからです。

 東芝は2006年にWHを約5000億円で買収。買収費用のうち、WHの純資産を上回る部分約4000億円をのれん代として資産計上しました。のれん代は、将来的に見込まれる収益力のことです。東芝はWH買収によって06年時4000億円の原子力事業が、15年には1・75倍の7000億円まで拡大するという“ばら色”の経営計画を描いていました。

 元経済産業省官僚の古賀茂明氏は、東芝がWHを買収した時点で、再生可能エネルギーの普及などによって、世界的にはすでに原発の停滞が見えていたと指摘します。11年に起きた東京電力福島第1原発事故は、東芝の原子力事業の夢を完全に打ち砕きました。

 ところが、東芝は今回の決算発表でも「(WHの)資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況変化は生じていない」との立場です。

 古賀氏は「福島事故が起き、原発に未来がないことがはっきりしたなかで減損しないのは明らかな粉飾だ。その粉飾を経済産業省や安倍晋三政権は後押ししている」と強調します。

 「トップセールスで原発輸出を進め、長期エネルギー需給見通しでも2030年の原発比率を20〜22%とし、新増設が必要なことにしている。監査法人や金融庁がのれん代に疑問を持ったとしても、東芝にとっては政権の姿勢が錦の御旗になる。国を挙げて粉飾補強の環境整備をしている」

 東芝の粉飾の闇は官邸にまで広がっています。(佐久間亮)


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