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2015年9月6日(日)

主張

マイナンバー制度

実施に突き進むことは無謀だ

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 日本に住む人に一人残らず番号を割り振り、国が情報管理する「マイナンバー(社会保障・税番号)」制度の本格的運用へ向け、安倍晋三政権が準備を加速しています。番号の利用範囲を金融・医療に拡大する改定法を国会で成立させたのに続き、10月5日から番号を国民に知らせる「通知カード」の郵送を開始します。しかし多くの国民は制度を詳しく知らず、むしろ情報漏れへの不安を広げています。地方自治体や企業の対策も遅れています。こんな状態で厳重な保管が必要な番号の通知を始めることは個人情報を危険にさらします。実施に突き進むのは無謀です。

漏えいしたら被害甚大

 マイナンバーは、日本国内に住民票をもつ赤ちゃんからお年寄りまで全員に12桁の番号をつけ、国が管理し、税や社会保障の手続きなどで使用する仕組みです。

 現在は、年金や税金、住民票などの個人情報は公的機関ごとにそれぞれ管理されていますが、マイナンバーで各情報を一本に結びつけることが可能になります。

 行政側からすれば、国民の所得、社会保障給付の状況を効率よく把握できる半面、国民にとっては、分散していた個人情報の収集を容易にするマイナンバーがひとたび外部に漏れ出せば、悪用され、個人のプライバシーが侵害される危険は飛躍的に大きくなります。

 10月からの番号通知後、来年1月から税金事務、雇用保険などの事務で使用する計画です。顔写真入りの「個人番号カード」を希望者に発行し身分証明書として使えると便利さを売り込みますが、他人に見せてはならないマイナンバーを持ち歩くことは、個人情報の保護にとってマイナスだという指摘が上がっています。

 改定法は、健診情報や銀行口座などとマイナンバーを結びつけるなど民間分野へ拡大することを盛り込みました。範囲を広げるほど情報漏れリスクは高まります。

 日本年金機構から125万件もの情報流出が発覚し、政府の情報管理への不安が強まるなか、当初予定した基礎年金番号とマイナンバーの連結は最長1年5カ月延期しました。しかし年金機構以外の公的機関などで万全の対策がつくられている状況とはいえません。

 年金情報漏れ発覚後、政府が地方自治体を緊急調査したところ情報保全措置が不十分な自治体が存在する実態が判明しました。マイナンバー運用までに対策が間に合う保証はありません。マイナンバー情報が流出した場合、被害の大きさと深刻さは計り知れません。

 従業員や家族のマイナンバーを集め、罰則付きで厳格に管理することが求められている民間企業の対応も立ち遅れています。中小企業は業務の煩雑さや出費の重さなどに頭を抱えている状況です。

延期しても不利益はない

 10月から約5500万世帯に簡易書留で送る通知カードが施設入所中の高齢者など200万世帯以上に届かない問題も判明しました。1カ月で解消は困難です。

 内閣府の最新の世論調査ではマイナンバーの内容を知らない人が半数以上です。情報保護に不安を感じる人も増えています。

 国民の支持や理解が広がらない制度を急ぐ必要はなく、延期しても国民になんの不利益はありません。マイナンバーは実施中止の決断をすることこそ必要です。


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