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2015年8月24日(月)

刑事訴訟法等改定案

仁比議員の質問

参院本会議

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 日本共産党の仁比聡平議員が21日の参院本会議で行った、刑事訴訟法等改定案の質問(要旨)は次の通りです。


 本法案は、わが国の刑事司法に問われてきた根本問題である冤罪(えんざい)の根絶を、「取り調べ及び供述調書への過度の依存からの脱却」とか「世界一安全な日本」創造などとすりかえて、盗聴法の大改悪と司法取引導入を柱にした憲法違反の治安立法というべきであり、その本質をいささかも変えるものではない修正によって成立を図ることは、断じて許されません。

 今回の刑事司法改革の直接の契機となった厚生労働省・村木厚子さんの事件では、特捜部主任検事自ら、関係者に虚偽の自白を強要し、証拠を改ざんした重大な違法捜査が明らかとなりました。静岡県警の自白強要と証拠ねつ造、検察による無罪証拠隠しによって死刑囚とされた袴田巌さんへの歴史的な再審開始決定は「国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは到底耐え難いことといわなければならない」と厳しく断罪しました。

 冤罪が警察と検察の違法捜査によって、生み出されてきたという認識がありますか。

 政治に迫られているのは、捜査機関から独立した第三者機関を設け、繰り返されてきた数々の冤罪事件とその原因を検証・究明し、刑事司法の構造的問題を抜本的に改革することではありませんか。

 冤罪被害者と多くの国民が求めてきたのが、捜査全過程の録音・録画による可視化であり、捜査機関の手持ち証拠の全面開示制度の導入でした。

 ところが法案は、可視化の対象事件を全事件のわずか3%にとどめ、しかも取調官の裁量的判断による広範な例外を認めるものです。

 取り調べの可視化は、憲法38条の黙秘権の実効性を保障するものとして、全事件、全過程の録音・録画を、捜査機関に対して直接義務付けるものとするのが当然ではありませんか。冤罪被害者の怒りの声にどう答えるのですか。

 次に、司法取引は、自らの罪を免れようと他人を罪に陥れ、引っ張り込む危険を本質的にもっています。衆議院における参考人質疑では、長く司法取引を行ってきた米国で、取引に応じた密告者の供述によって重罪とされながら後にDNA鑑定によって無実が判明する事件が相次いでいるという深刻な実態が明らかになりました。

 にもかかわらず、わが国に導入しようとするのはなぜですか。結局、自らの罪を逃れんがための虚偽供述の危険を高めるだけではありませんか。

 続いて、盗聴法の大改悪についてききます。盗聴の本質は、犯罪に無関係の通信をも根こそぎつかむ盗み聞きです。

 憲法21条2項が保障する通信の秘密、13条が保障するプライバシーの権利は、盗聴によってひとたび損なわれれば取り返しがつかないという重大性を、どう認識しているのですか。明白な憲法違反ではありませんか。

 現行通信傍受法は、1999年、厳しい国民的批判に国会が包囲されるなか、対象を4種の組織犯罪に限定し、通信事業者の常時立ち会いを求めるという、与党修正によって強行されました。それを、捜査機関にとって使い勝手が悪いからと取り払い、対象犯罪を一般的犯罪にまで拡大し、常時立ち会いをなくせば、重大な人権侵害をさらに拡げ、盗聴を日常的な捜査手段とする「盗聴の自由化」につながりかねません。

 現行法のこうした限定をも取り払う大改悪は、盗聴の違憲性をさらに重大にする憲法違反ではありませんか。

 日本共産党国際部長宅盗聴事件の被害者、緒方靖夫元参議院議員の衆議院における参考人陳述は、重大な権力犯罪をあえて行う警備公安警察の卑劣さを、党派を超えて共有させるものとなりました。いまもその事実を認めず謝罪もしない警察に盗聴の自由を認めるなど、断じて許すわけにはいきません。


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