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2015年8月10日(月)

広島・長崎平和式典 首相あいさつ

「核の傘」依存と「核なき世界」

“二枚舌”やめ戦後の原点に戻れ

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 安倍晋三首相は9日の長崎市での平和式典で、6日の広島市でのあいさつで「非核三原則の堅持」に言及しなかったことが強い批判にさらされたことを受け、一転してあいさつに盛り込みました。核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする国是に対する首相の場当たり的な対応は、米国の「核の傘」に依存したまま、「核なき世界」を訴える日本政府の「二重基準」ぶりを改めて浮き彫りにしました。

被爆地への誓い

 安倍首相は広島で「非核三原則」にふれなかった理由を国会で追及され、「広島でのあいさつの案と、長崎での案はセットだ。重複する言葉もあれば、そうでない言葉もある」(7日)と弁明していました。

 しかし、「非核三原則」が、同じ被爆地である広島と長崎で、出したり引っ込めたりできる軽い言葉でないのは、歴代首相のあいさつからも明らかです。過去15年を振り返っても、当時の首相が広島と長崎で被爆地に対する誓いの言葉として必ず言及してきたのが、「三原則」だからです。(表)

図

 安倍首相は批判を受けて「三原則」にはふれたものの、多くの首相が「三原則」と一緒に表明してきた「憲法の順守」には、この3年間の式典あいさつで結局1回もふれていません。批判逃れでしかない姑息(こそく)な対応は、平和国家の根幹理念に対する安倍首相の認識の欠如をますます裏付けるものです。

 そもそも首相の「三原則」軽視の背景にあるのは、日本政府の米国の「核の傘」依存政策です。「極限の状況」では米国の核兵器使用さえ容認する安倍政権の姿勢は、日本への核持ちこみを縛る国是と深刻な矛盾を抱えています。そのため、政府は「核の不使用」を求める国連の共同声明に棄権するなど、被爆国でありながら核廃絶の取り組みの後塵(こうじん)を拝してきました。

憲法の原点の地

 「戦争をしないという(憲法の)平和の理念は永久に変えてはならない原点です」(田上富久長崎市長)

 戦後70年を迎えたこの日の長崎の式典では、例年にも増して憲法への言及が目立ちました。背景に、国会で審議中の戦争法案への怒りがあることは間違いありません。

 核兵器を「絶対悪」とした広島の平和宣言。「国の安全保障は、核抑止力に頼らない方法を」と訴えた長崎の平和宣言。そして何より、戦争法案を「許すことはできない」と断じ、撤回を求めた被爆者らの叫び。いま安倍首相がなすべきは、米国従属の「二枚舌」で国民を欺き続けることではなく、戦後日本の原点ともなった広島・長崎の惨禍に立ち戻り、平和への願いに耳を傾けることです。

(池田晋)


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