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2015年8月2日(日)

安倍政権 礒崎氏だけじゃない

法治国家 否定体質

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 「法的安定性は関係ない」と戦争法案についてこう言い放った礒崎陽輔首相補佐官の暴言は、与党内からも辞任論が出るなど安倍政権を直撃しています。3日には参院安保法制特別委員会で礒崎氏の参考人質疑が行われます。憲法無視、民意を踏みにじる安倍政権の体質が問われています。(北野ひろみ)


図:戦争法案をめぐる政府・自民党の発言

 「法的安定性」とは、憲法や法律の解釈・規定が勝手に変更されず、安定していることです。いわば、法治国家、民主主義の基盤です。

法的安定性

態度は変わらず

 ところが、これを真っ向から否定したのが礒崎氏の暴言でした。7月25日の大分市内での講演で戦争法案を「違憲」と指摘した憲法学者に対し、「憲法に自衛権というのは何も書いていない。憲法に書いてないのに憲法違反なんかあるはずない」と発言。続く26日の同市内での講演では「法的安定性は関係ない」「時代が変わったのだから、政府の解釈は必要に応じて変わる」とまで述べたのです。

 暴言に対する批判の高まりに礒崎氏は、「ご迷惑をかけた」などとツイッターで弁解していますが、「時代」や「国際情勢の変化」だけで憲法の規範は変わってもいいという態度は変わっていません。

 安倍晋三首相は礒崎氏の暴言に対し、「わが国をとりまく安全保障環境を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した発言だ」と擁護。「誤解をもたれるような発言は慎まなければならない」などと述べただけで、礒崎氏と同じく立憲主義を否定する問題への反省はまったく見られません。

暴言何度も

首相の側近から

 重大なのは、こうした憲法無視の暴言が、戦争法案の審議と並行して安倍首相の側近から繰り返されてきたことです。

 中谷元・防衛相は、戦争法案について「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」(6月5日の衆院安保法制特別委)と答弁。法案ありきで憲法解釈をねじ曲げたという“本音”を吐露したもので、その後答弁撤回に追い込まれました。

 自民党の高村正彦副総裁は、与党推薦を含む憲法学者全員が相次いで戦争法案を「違憲」と表明したことを受けて「憲法学者はどうしても憲法9条2項の字面に拘泥(こうでい)する」(6月5日の自民党役員連絡会)と攻撃しています。

 安倍首相を支持する自民党若手議員らの会合では、「(法案に否定的な)マスコミを懲らしめるには広告収入料がなくなることが一番。経団連に働きかけてほしい」(大西英男議員)と、言論弾圧の暴言まで飛び出しました。

学者ら批判

法秩序自体無視

 憲法研究者らで廃案を求める声明を発表している憲法学者の永山茂樹東海大教授は7月28日の記者会見で、「法的安定性を軽視することは、単に憲法の力を弱めるだけでなく、一切の法秩序自体を無視するということ」と厳しく指摘。小沢隆一東京慈恵会医科大教授は「憲法解釈が変わってはいけないということは一般論としてはいえないが、いま政府がやろうとしていることは権力を縛ってきた法解釈を緩め、そこから逃げる法解釈や変更でありそれは許されない」と批判しています。


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