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2015年6月23日(火)

逆行 「刑事司法改革」を問う

清水忠史衆院議員に聞く

いまも“不必要最大限”盗聴

85%が犯罪と無関係、2700回聞き検挙0

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 盗聴範囲の拡大と要件緩和などを盛り込んだ「刑事訴訟法等一部改定案」の審議が衆院法務委員会で行われています。審議を通じて、どんなことが明らかになったのか、同委員会委員の日本共産党の清水忠史(ただし)議員に聞きました。(矢野昌弘)


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 この法案の出発点は、冤罪(えんざい)をなくすことでした。その結果が、盗聴拡大や「司法取引」の導入となっています。

法相答弁できず

 印象深いのは、「(盗聴)拡大で(冤罪を)防止できると説明できるか」(2日)と質問した時です。上川陽子法相が「効果があるのかないのか、お答えする能力がございません」と答えたのです。

 この法改定で目的が達成できるのかと問われても答弁ができない。つまり、そうではないことが明らかになったのではないでしょうか。

 盗聴(通信傍受)法は「通信の秘密を侵してはならない」という憲法21条に著しく反する法律です。1人を検挙するにしても、1回で犯罪に関係する通話が盗聴できるとは限りません。そこに行き当たるまで、家族との会話など無関係な通話を盗聴することになります。ここに本質的な問題があります。

 この間の実績を調べた結果、警察が盗聴した通話のうち85%が犯罪と無関係でした。

 例えば、2011年の「第4号事件」は、銃刀法違反を検挙するために警察が5枚の令状を求めた事件です。のべ85日間、2721回の通話を盗聴しました。しかし、犯罪に関する通話はゼロ。検挙者ゼロ。果たして、憲法に反しない“必要最小限”の盗聴なのか。それどころか、不必要最大限に、盗聴しているじゃないですか。

現行の検証なく

 法務省は「適正な手続きに基づいている」といいます。では「その手続きとは?」と聞くと、「裁判所の令状がある」と。しかし、令状発付率はほぼ100%です。まったく歯止めになっていません。

 この間の法制審議会の特別部会などで、憲法に違反しているかどうかの検証も全くありませんでした。現行の盗聴を検証しないまま“使い勝手のよいもの”に改悪するなど、とんでもないことです。

 「あなたが盗聴されたら、どう思うか」と聞くと、上川法相自身が「非常に不快感がある」と答えます。盗聴法は、犯罪と関係がない人が盗聴されても連絡を受けたり、被害を回復する仕組みはありません。

 現行盗聴法は、通信事業者の立ち会いを常時義務づけるなど、それなりの縛りがあります。それでも、これだけの人権侵害ぶりです。

 今回の法案は窃盗、詐欺など、重大犯罪といえないものまで対象を拡大する。しかも通信事業者の立ち会いをなくし、後でごっそり通話データを聞きたい時に聞けるようにするものです。より多くの犯罪とは無関係な通話が盗聴されることは明白です。

 他党の議員の中からも「とんでもない法案だ」という認識が深まり、徹底審議を求めるスクラムが野党で組まれています。

 この間、大阪の弁護士から「清水さんの質問は市民感覚でわかりやすいと弁護士の中でも評判だよ」といわれました。今後も廃案にむけて、国民目線の論戦をさらにすすめたいと思います。


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