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2015年6月22日(月)

2015とくほう・特報

憲法カフェ×ママ=広がる・動く

子らの未来と命が…戦争法案を止めたい

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 若手弁護士が、おしゃれなお店で、子育て世代の母親らに憲法問題を語る「憲法カフェ」が広がっています。保育園や公民館などで開いたものも合わせると700回を超えました。6月は各地で30回以上開かれます。折しも国会では、いつでも、どこでも、米国のどんな戦争にも参加できるようにする戦争法案の審議中。ママたちはどんな視線を向けているのか―。(内藤真己子、写真も)


「新たな波が きている」

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(写真)子ども連れのママたちが集まった憲法カフェ。写真中央奥が太田啓子弁護士=11日、横浜市緑区

 横浜市緑区の日本料理店。11日、ランチタイムを前に女性らが集まってきました。おとな26人に子どもが6人。お座敷での「憲法カフェ」です。

 講師は2年前に「カフェ」をはじめた、「明日の自由を守る若手弁護士の会」(略称・あすわか)の弁護士・太田啓子さん。会場を見渡して話します。「今日は参加者が多いですね。『なんかヤバそう』って感じている人が増えてきているからでしょう。国会で3人の憲法学者が『安保法制は違憲』と陳述してから、新たな波がきていると感じます」

 カフェは太田さんの問いかけからスタート。「国民は憲法を守らないといけない。これ、○だと思う方?」。数人の手があがりました。太田さんは続けます。「憲法を守らなければならないのは国家権力。個人の人権・自由を守るために国家権力の乱用を防ぐのが憲法。それを立憲主義といいます」。「そうなんだぁ」。ママから驚きの声が上がります。

 講演は、立憲主義を否定し、日本が攻撃されていないのにアメリカなどの戦争に参戦する集団的自衛権の行使を可能にする自民党改憲草案や、安倍内閣の解釈改憲による戦争法案に及びました。

 「安保法制は違憲ではないの?」「法案が通ったらどうなる?」。核心を突く質問が次々に飛び出します。

 子どもの英語塾の友だちに誘われ1歳児を抱っこして来たママ(28)は、「アメリカといっしょに行動するのが日本のためになると聞いてきました。そのことで日本がテロの標的にされ、危険になるなんて怖い」。

 「妊娠・出産を優先して仕事を辞めた」という1歳男児のママ(45)は、「知らないことの恐ろしさを感じ、危機感を持ちました。授かった子の命はなんとしても守りたい」。

 安倍政権の「戦争する国づくり」に女性の不安が広がっています。新聞の世論調査でも「安全保障関連法案」に「反対」は女性が56%、男性の48%を上回ります。片や「賛成」は24%で、男性(45%)の半分程度です。(「毎日」5月25日付)

 こうした意識動向に敏感な女性週刊誌は、「あなたの子供が“アメリカの戦争”に命を捨てる!」(『女性自身』6月2日号)、「自民党『憲法改正マンガ』の危険シーンにツッコミ このマンガは戦争の邪魔になる『母の本能』を押しつぶす!」(同23日号)などの特集を連打しています。

ママ友に知らせたくて

 ママたちは、なぜ動き出したのか。その思いを聞くと―。

 「3・11の福島原発事故後、国の対応に疑問を抱いたことから政治に関心を持ちはじめました」。こう話すのは埼玉県白岡市の川本由紀子さん(33)=仮名=、3人の子持ちです。昨年「カフェ」に行き、「自分の子どもが戦争に行くことになったら…。怖い。戦争する国へ向かう流れを止めたい」との思いを強くしました。ママ友に知らせたいと、カフェを4回開きました。

 「安倍さんは私の息子のことなど知らないでしょう。兵士になったら『数』としてしか見られない。最近、ヒトラーに関する本を読んでいたら、『平和』といいながら戦争に向かって行く姿が描かれていた。いまの安倍さんと重なりました」

 子どもが通う幼稚園や自宅で5回も「カフェ」を開いたのは、さいたま市の南雲けいさん(33)=仮名=。「毎日顔をあわせるママたちにこそ、知ってほしい」と、幼稚園の園長に持ちかけ、了解してもらいました。参加してくれたママたちは「漠然と安倍さん怖いと思っていたけど、やっぱり怖い」「帰ってパパにしゃべりたい」。手ごたえを感じました。

 ママたちの動きを後押ししたもう一つのカギは“カフェ”という気軽で、ちょっとおしゃれな形です。

 冒頭の横浜市の「カフェ」を企画した増子順子さん(38)は、1歳と5歳の子育て真っ最中です。「子どもが小さいのでデモに行ったりできません。カフェなら、と思い切って友だちに声をかけました。断られた人も結構いてショックだったけど、日々忙しくて新聞を見る暇もないママに知ってほしかったんです」

 「ママ友と政治の話をすることに、心のどこかで迷いがありました。でも憲法を学び、『私たちには権利がある。もっと政治にモノを言っていいんだ』と自信が持てたんです」。こう話すのは、2人の子どもを育てる八王子市の田辺野江さん(42)=仮名=。弁護士に頼らず、自らが憲法「語り部」をはじめました。「『私が話すから聞いて』って敷居を低くして、広げていきたい」。独自のレジュメもつくり意欲的です。

議会に請願 街頭署名も

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(写真)レッドアクションで宣伝する石井さん(右から2人目)と、阿部さん(同3人目)たち=9日、千葉県船橋市

 カフェをきっかけに政治に直接働きかけ始めたママもいます。

 京都府宇治市の中村あゆ美さん(41)=製造業パート=は17歳、14歳、6歳の母親。中村さんも、日常の暮らしのなかで政治のことを話せる場をと憲法カフェを開催。カフェに集ったママ友と相談しながら、10日、宇治市議会に「安保法制案の撤回を求める意見書」の請願を出しました。自公や民主、共産党の議員に声をかけ、次のような手紙を渡しました。「子どもたちの未来が、命が、かかっている問題です。党派や会派を超えて、自分の良心に従った意見を表明されることを望みます」

 千葉県八千代市の石井真利子さん(35)は、新日本婦人の会の「親子リズム」を“卒業”したママたちで作る「筋トレ小組」で憲法カフェを開きました。「安倍さんの動きが怖くて、自分でもなんとかしなきゃと思ったんです。カフェに行って、これなら小組のママたちとも違和感なくできると思いました」。小組のママに戦争法案反対の署名を呼びかけました。

 2歳の娘を連れて石井さんも参加した新婦人・船橋支部の9日の「レッドアクション」には子育て世代の会員など31人が集合。1時間で46人分の署名が集まりました。

 同支部副支部長の阿部礼子さん(42)は、「夫が自衛隊員のママも『9条があるから安心だと思っていたけど、これからは心配。(戦争法案は)やめてほしい』と言っています。憲法違反の戦争法案は廃案にし、安倍首相にはやめてもらうしかありません」と話します。


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