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2015年6月20日(土)

労働者派遣法改悪案

高橋議員の反対討論

衆院本会議

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 日本共産党の高橋千鶴子議員が19日、衆院本会議で行った労働者派遣法改悪案に対する反対討論は以下の通りです。


写真

(写真)反対討論する高橋千鶴子議員=19日、衆院本会議

 もともと本法案は、昨年2度も廃案になったものであり、本来提出すべきではありませんでした。委員会審議では、冒頭から政府答弁の混乱や訂正が相次ぎ、本日6回目の委員長職権という異常な委員会運営に終始しました。審議が尽くされたとは到底言えず、強く抗議するものです。

 審議入りを前に、「いわゆる『10・1問題』」が表面化しました。10月1日施行の労働契約みなし制度について、「大量の派遣労働者が失業」「訴訟が乱発するおそれ」など、何が何でも本法案を9月1日施行で成立させ、みなし効果をなきものにしたいという、経済界の思惑をあからさまに正当化した資料です。それも相手によって説明を使い分けるという悪質さで、国会審議を形骸化しました。このことだけをみても、本法案は廃案にすべきです。

 さらに、本法案でみなし制度の効果が極めて限定的になるにもかかわらず、期間制限に抵触する場合における派遣先の直接雇用申し込み義務をみなし制度の施行を理由に削除したことは重大です。

 そもそも職業安定法44条は労働者供給事業を禁止しており、政府自身も労働者派遣は「臨時的・一時的業務に限る」「常用雇用の代替であってはならない」と説明してきました。本法案は、この大原則を根底から覆すものであり、到底容認できません。

「期間制限3年」際限なく延長も

 今回の改定では、事業所の派遣受け入れ期間は3年としますが、過半数労働組合等から意見を聴きさえすれば、際限なく延長できます。個人単位の期間制限も3年を上限とするものの、課をかえればずっと使い続けられます。さらに派遣元で無期雇用であれば期間制限は一切適用されません。これでは、正社員から派遣労働への置き換えが大規模に進むことは明らかです。

 重大なのは、個人単位の期間制限は、派遣法が禁止する特定目的行為につながるおそれがあることです。政府は「3年ごとに課をかえることでキャリアを見つめ直す」と説明してきましたが、そのためには派遣先が派遣社員を指定・選別せざるをえないのは自明です。派遣先と派遣労働者との雇用関係が生じたに等しく、このような特定目的行為は派遣法の根幹にふれるものです。塩崎大臣も、「労働者派遣制度が労働者供給事業の禁止の例外としている趣旨からも、特定目的行為の禁止は重要な考え方」と認めています。まさに法案の欠陥であり、断じて認めることはできません。

 また、派遣労働者のキャリアアップ措置と雇用安定措置は、いずれも実効性がなく、正社員になれる保証はありません。多くの派遣労働者がキャリアを持ちながら雇用の調整弁として首を切られていることは、質疑でも、参考人質疑のなかでも告発されてきました。それどころか、専門26業務を廃止することで3年後の雇い止めが表面化したのに対して、政府がまったく無策であることは厳しく指摘したいと思います。

戦後労働法制の根幹を崩す法案

 本法案は、昨年廃案になった政府案に、与党修正を盛り込んで再提出されました。しかし、参考人からも指摘されたように、臨時的・一時的原則を法定する一方、事実上期間制限がなくなる。派遣労働者が増えればすみやかに見直しを行うなど、相反した内容で、きわめて矛盾した法案になっています。このような法案は、廃案にするほかありません。

 最後に。2008年秋からのリーマン・ショックをきっかけに、派遣労働が究極の不安定雇用であることが浮き彫りになりました。全国一の派遣切りが集中した愛知派遣村の当事者たちは、当時今の法律があったら自分は正社員になれた、と訴えています。派遣労働者を紙切れ一枚で寒空へ放り出したあの時の教訓から、初めて派遣労働者の保護へと踏み出したはずです。あの原点に、今こそ立ち返るべきです。

 戦後労働法制の根幹を崩す本法案の廃案を重ねて求めます。


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