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2015年5月31日(日)

日本に軍事危機なくとも出撃

戦争法案審議 集団的自衛権の本質 鮮明

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 “日本は平和、でも自衛隊は戦争”という、にわかに信じがたいシナリオが現実となる―。集団的自衛権行使の恐るべき本質が、戦争法案の国会審議の始まりとともに明らかになってきました。

 (中祖寅一)


 安倍政権と自民・公明の与党は、集団的自衛権行使の「要件」として、他国に対する武力攻撃によって「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」など三つ(新3要件)をあげました。

 政府は、このうち「明白な危険」とは「国家としてのまさに究極の手段である武力を用いた対処をしなければ、国民に、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいう」(横畠裕介内閣法制局長官、昨年7月14日、衆院集中審議)と説明。その判断基準として「わが国に戦禍が及ぶ蓋然(がいぜん)性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性」を総合的に考慮する(同)としてきました。

 「武力攻撃を受けた場合と同様な深刻重大な被害が及ぶ」「我が国に戦禍が及ぶ蓋然性」という表現からは、従来の「個別的自衛権」に匹敵する限界線を引いたかのような“印象”を与えます。

「火」ではなく「災い」と強調

 ところが、衆院安保法制特別委の審議が始まって2日目の28日、安倍晋三首相は民主党・後藤祐一議員に対し、「戦禍は『災い』であり『火』ではない」「われわれが直ちに攻撃されることではなく、武力攻撃が発生しそれに起因する災いが発生することだ」と答弁。「軍事的要素のない経済的災いも含むのか」という問いには明確に答えないまま、「攻撃に起因する災い」「災いであり火ではない」と強調したのです。

 横畠法制局長官もこれまで、「センカのカが『火』(戦火)と書く場合と『禍』(戦禍)と書く場合がある。『火』と書く場合は、わが国が砲撃を受け、ミサイルが着弾することがイメージされるが、『禍』の場合は、砲火を浴びる状況でないものも含まれる」(昨年11月6日、参院外交防衛委員会)と答弁してきました。

攻撃なくても海外で戦争へ

 こうした答弁は結局、「他国に対する武力攻撃」の結果、日本に軍事危機が全く発生しない場合にも、自衛隊の戦争出撃を認めるというものです。念頭にあるのは、安倍首相が固執するペルシャ湾での機雷掃海活動です。経済的混乱や政治的動機を背景に戦争への突入を認めるもので、かつての「満蒙は日本の生命線」と同じ論理です。

 日本への直接の武力攻撃に反撃する「個別的自衛権」の場合、武力攻撃が発生して初めて武力行使が認められます。武力攻撃の「予測」でも「切迫」でも武力行使は認められません(表)。これに対し集団的自衛権では、日本への武力攻撃の「予測」すらない時点でも、海外での武力行使に至るのです。

 軍事力を否定する憲法9条のもと、日本に対する軍事的危機がないのに武力行使を認めるのは明らかに違憲です。「閣議決定」が「従来の政府解釈の範囲内」としてきた説明とも矛盾します。

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