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2015年5月21日(木)

12年のCV22オスプレイ事故

「標準的訓練」時に墜落

防衛省内部文書で明らかに

穀田氏追及

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(写真)質問する穀田恵二議員=20日、衆院外務委

 防衛省が、2012年に米フロリダ州で発生した米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイの墜落事故について、当時米側から「非常に標準的な訓練」時に起きたと説明を受けながら、日本独自の事故分析評価報告書ではこの事実を隠ぺいしていたことが分かりました。日本共産党の穀田恵二議員が20日の衆院外務委員会で、同省の内部文書から明らかにしました。

 文書名は、「フロリダで発生したCV22オスプレイの墜落事故に関するブリーフィング」(12年8月30日付)で、右肩に「取扱厳重注意」と記されています。日本側が米国防総省で事故原因などについて聴取・質疑応答により確認した「特筆すべき点」をまとめたもの。

 日本側の「今回の事故について、特殊作戦に特有の訓練中に起こったものであると対外的に説明可能であるか」との問いに、米側は「訓練は何ら特別なものではなく…編隊飛行は、非常に標準的なものとして、MV22も通常実施している」と答えたことが明記されています。

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(写真)日本共産党の穀田恵二議員が20日の衆院外務委員会で示したブリーフィング資料

(拡大図はこちら)

 穀田氏は、内部文書を示しながら、「この記述は事実か」と質問。左藤章防衛副大臣は当初「知らない」と述べたものの、途中から「防衛省として(文書を)公表していない」と変更。穀田氏が「非公表だが、文書はあるということか」と詰めると、「あるかどうか含めてわからない」と答弁を二転三転させました。

 穀田氏は、米側の説明どおりなら、CV22の事故率の高さの理由として防衛省があげる「過酷な訓練」だけでなく、「標準的な訓練」でも墜落の危険があることになると指摘。日本側の分析評価報告書にはこの部分の記述が全くないことを示し、「重大な事実を隠しながら、この報告書を根拠にCV22の安全性をいくら強調しても何の根拠にもならない」と批判しました。

 岸田文雄外相は「当時の米側とのやりとりについて承知する立場にない」と答えました。

解説

「安全宣言」根拠崩れる

独自分析とは程遠い“お伺い”

 内部文書は、米海兵隊MV22オスプレイ沖縄配備にあたって日本政府が出した「安全宣言」の根拠を覆し、CV22オスプレイの危険性を改めて証明するものです。

 沖縄配備直前の2012年当時、オスプレイはモロッコでMV22(同4月)が、米フロリダ州でCV22(同6月)が相次いで墜落。「安全宣言」(同9月)にあたり政府がこれら2件の事故の「独自に客観的な分析」(左藤章防衛副大臣)を迫られたのは、国民に強い反対と懸念の声が広がったためです。

 しかし、穀田恵二衆院議員が示した内部文書によると、日本側はフロリダ事故の聴取の場で、「人的要因によるものであると対外的に説明して良いか」「特殊作戦に特有の訓練中に起こったものであると対外的に説明可能であるか」といった説明要領の“お伺い”に終始。事故原因で「特筆すべき点」として日本側から米側に確認したのはこの2項目にすぎません。

 「独自に客観的な分析」とも、安全性の確認とも程遠い、米側の説明をうのみにした実態を如実に示しています。しかも、公表の報告書では“お伺い”内容から「対外説明」に都合の悪い情報を隠していたことも判明しました。

 CV22のフロリダ事故は、編隊飛行訓練中に後続機が先頭機の後方乱気流に巻き込まれて起きたもの。沖縄をはじめ各地で普通にみられる編隊飛行時に、同様の事故が起こりうることを米側の説明は裏付けています。

 沖縄での運用ルール違反の常態化に加え、米ハワイ州で新たな墜落事故(17日)まで起き、「安全宣言」はもはや死文化しています。

 (池田晋)


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