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2015年5月8日(金)

ずさん“リニア”計画 残土で山崩れ危機

南アルプス 環境懸念

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(写真)4月24日の衆院環境委員会で日本共産党の島津幸広議員が示した発生土置き場の例

 JR東海が、リニア新幹線の建設残土置き場を南アルプスの傾斜地に設ける計画を示しています。日本共産党の島津幸広衆院議員が4月24日の環境委員会で、自然環境破壊であると同時に大規模な山体崩壊が起こる危険性があることを明らかにしました。

 リニア新幹線は必要性も採算性も乏しい事業。ユネスコからエコパーク(生物圏保存地域)に認定された南アルプスのど真ん中に59・2キロメートルもの長大なトンネルを掘って敷設されます。静岡県内では10・7キロのトンネルを掘削し、建設残土は360万立方メートルも出ることになります。残土置き場(写真)は南アルプスの山中に7カ所つくられる予定で、石や岩が堆積している斜面の「ガレ場」も2カ所含まれます。

 南アルプスでは宝永地震(1707年)のさいに大谷崩(おおやくずれ)で、安政東海地震(1854年)のさいに七面山崩(しちめんざんくずれ)で大規模な崩壊が起きています。

 島津氏は、南アルプスと同じ地質帯にある紀伊半島南部で4年前の台風で大規模な深層崩壊が発生したとして、「南アルプスでも同様の危険が想定される」「崩壊が起きれば残土置き場は崩壊する」危険があると警鐘を鳴らしています。しかし、JR東海はこの指摘に対して、「大規模な崩壊が起きたとしても、発生残土の存在による影響は非常に少ない」との姿勢です。

 島津氏は質問で「楽観的な評価の上に立つ残土処理方針を認可した根拠は何か」とただしましたが、国土交通省は「良好な岩盤だ」などと述べるにとどまりました。

 地元はそのようにはみていません。静岡市の「環境影響評価専門家会議」は、残土置き場予定地の「扇沢」(標高2000メートル)について「山梨県側からも静岡県側からも地すべり崩壊による侵食がすすみ、面積が縮小しつつある不安定な領域にあたり、そこに発生土を積み上げると、山体崩壊を促進する」とまで警告しています。

 島津氏は質問で、残土が登山者から見える所に置かれ、地すべり危険地帯が多い場所に盛り土をすることは、“発生土置き場は、自然環境に影響を与えず、景観を害することのない場所に設置すること”という環境相意見にも反すると主張。「具体的で順守の必要がある設置基準を設定すべきだ」と強く求め、リニア計画の凍結と見直しを求めました。


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