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2015年3月28日(土)

大阪大学162人「雇い止め」

職場に不安、労組は撤回要求

「スーパーグローバル大学」は「ブラック大学か」の声

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 大阪大学は、162人ものベテラン有期職員を3月末で「雇い止め」にしようとしています。大学の業務に支障をきたすと職場で不安が広がっています。


教育・研究支えるベテラン有期職員

業務に支障も

写真

(写真)大阪大学の新聞広告

 「雇い止め」になる162人は、いずれも2004年の国立大学法人化以前から働いていたキャリア10年を超えるベテラン職員です。

 有期職員は部局の異動がないため、3年ほどで異動する常勤職員よりも、部局の業務に精通しているのが実態です。業務内容も専門書・学術書をあつかう図書館業務や技術職員など高度です。

 教員の秘書の有期職員は、研究内容にかかわる難解な英文のメールを仕分け、英語での電話対応も必要です。研究費をあつかう複雑な会計業務を担っていた有期職員が退職したら、1週間で処理されていたものが1カ月以上もかかった、ということもありました。

 大阪大学教職員組合の北泊謙太郎副委員長は、「後任を補充するところ、しないところもあるが、業務が果たしてうまくまわるのか、不安を感じている教職員も少なくない」と危惧しています。

一方的に通告

 大学は法人化前、契約更新上限を定めず、有期職員の再雇用をくりかえし、多くの部局は、60歳まで働けると説明していました。法人化の際は、労働契約の更新可能上限は、「当分の間」は設けないとしました。ところが、09年10月、契約更新年数に上限を設けない措置を15年3月末で廃止すると一方的に通告。勝木保雄同書記長は、「大学の4地区の労働者の過半数代表と大阪大学教職員組合をはじめ学内の組合は、契約更新の期待権が十分にあるとして、『雇い止め』の撤回を求めて署名を集め、交渉をくりかえしてきました。しかし、当局は全く耳を貸しません。法人化前から雇用していた有期職員を今、『雇い止め』する国立大学は、大阪大学だけです」と訴えています。

脱法的行為も

 法人化後採用の有期職員の更新上限は6年(現在は5年)とされ、『雇い止め』が相次いでいます。後任を募集しますが、結局、他の部局で働いていた有期職員を6カ月のクーリング期間をおいて再雇用する事例が相次いでいます。これは、有期雇用が5年を超えて繰り返された場合に、無期雇用への権利が得られる労働契約法の脱法的行為です。

 有期雇用を無期雇用に転換しても大学の負担は増えません。「スーパーグローバル大学」に指定され、最大で10年間、毎年4億2千万円もの投資を受けている大阪大学。国からの交付金が減るなかでも、劣悪な非正規雇用の処遇改善に努力している他の大学の労働組合から、「ブラック大学か」と批判する抗議文が寄せられています。大阪大学は、使用者としての社会的責任が問われています。


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