2015年3月15日(日)
地下鉄サリン事件から20年 被害者の苦しみ今も
「国は実態調査して」
東京で集い 「防げた事件」の指摘も
死者13人、負傷者6300人もの被害を出したオウム真理教による地下鉄サリン事件が20日で20年を迎えるのを前に、14日、「地下鉄サリン事件から20年の集い」が東京都内で開かれ、約330人が参加しました。オウム真理教犯罪被害者支援機構、地下鉄サリン事件被害者の会、オウム真理教被害対策弁護団がよびかけました。
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昨年10月から12月にかけて同支援機構が実施した、被害者や家族317人を対象にしたサリン被害調査が報告され、被害者の3割に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性があることが判明しました。
調査を担当した松井豊筑波大学教授は、半数以上の人が「目が見えにくくなった」と答えたことにふれ「加齢とは無関係の症状であり、サリンによって悪化していることを示している。また、ほかの身体症状も以前より重くなっているようだ」と指摘しました。
地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人の高橋シズヱさん(68)は「近年は被害者の声を聞く機会が少なくなっていた。国として大規模な実態調査をしてほしい」と求めます。
討論では、科学者、医師、裁判官ら事件に携わった人たちが発言しました。
宇都宮健児・オウム真理教犯罪被害者支援機構理事長(弁護士)は「国が犯罪を予防する責任を十分果たしていなかった。被害者は、体調不良や心の傷で苦しい生活を送っている」と話しました。
オウムの拠点があった山梨県上九一色村(現富士河口湖町)の元日本共産党村議、竹内精一さん(86)は「オウムの違法性を何度も行政や警察に訴えても動かなかった。早く手を打てば防げた事件だ」と語りました。
アンソニー・トゥー米国コロラド州立大学名誉教授は「警察がオウムやサリンの情報を入手していても捜査の横の連携がなかったのが残念に思う」と指摘しました。