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2014年11月25日(火)

主張

国家戦略特区

暮らし壊すドリルを動かすな

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 安倍晋三首相は経済政策「アベノミクス」の是非を総選挙で問うとして、いっそうの推進をめざしています。「アベノミクス」を実行する“起爆剤”に位置づけるのが、「国家戦略特別区域(特区)」です。すでに6地域が指定され、事業の具体化議論が続いています。「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりをめざす安倍政権の思惑どおり、各特区で検討中の計画には、雇用・医療・まちづくり・農業などの分野で、大企業のための規制緩和策がずらりと並んでいます。大企業の利益を優先する「アベノミクス」と国家戦略特区の危険は明らかです。

アベノミクスの起爆剤

 国家戦略特区は、昨年秋の国会で成立した関連法にもとづきすすめられています。大企業の大もうけに邪魔な仕組みを「岩盤規制」と決め付け、撤廃する「ドリルの刃」(安倍首相)にすることが最大の狙いです。全国で一気に実施するのが難しい規制撤廃を、地域で実験的に実行し、既成事実化して全国に広げようというわけです。

 政府が第1弾に指定したのは東京圏(東京都の一定地域、神奈川県、千葉県成田市)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)、沖縄県、新潟市、福岡市、兵庫県養父市です。10月までに全地域で、「ミニ独立政府」とされる「特区会議」(企業・政府・地方自治体などで構成)が発足し、事業計画と規制撤廃の検討が続いていますが、大企業のもうけ最優先で国民生活を脅かし、地域を破壊する方向が鮮明です。

 東京圏特区会議は、都内10カ所で三井不動産などが主導の大型開発事業を掲げ、「柔軟かつ大胆な容積率の設定」を打ち出しました。まちを壊す乱開発に歯止めがかからない危険があります。同会議では、三菱地所会長がさらなる手続き短期化を求めました。大企業の勝手放題に拍車をかける特区の有害ぶりが浮き彫りです。

 雇用破壊も特区をテコにすすめる狙いです。「グローバル創業・雇用創出特区」と銘打つ福岡市などでは、外国企業を呼び寄せるため雇用ルールを「明確」にする仕組みづくりをすすめています。解雇自由の「解雇特区」への布石です。お金の有無で医療に差をつける「混合診療」拡大の特例づくりは、医療を平等に保障する「皆保険制度」に風穴を開ける動きです。

 しかし、大企業がさらに大もうけできる方向を露骨に加速する仕組みづくりは矛盾を深めています。臨時国会に提出した教育などにも対象を広げる戦略特区法改悪案は、解散で廃案になりました。特区での住民の批判も広がっています。大企業のために、雇用や医療など国民の権利と安全を守るための制度や仕組みを切り崩す国家戦略特区の具体化作業はただちに中止すべきです。

大企業頼みから転換こそ

 政府主導で「アベノミクス」を押し付ける仕組みはあっても、地域住民の意見を取り入れる仕組みのない国家戦略特区は、国民の願いにこたえることはできません。都市部でも地方でも、大企業のもうけによって再生・活性化させるやり方は行き詰まっています。財界・大企業を優先し、国民の暮らしの土台を壊し、地域経済を疲弊させている経済政策「アベノミクス」に総選挙で審判を下すとともに、国民所得を拡大する政策への転換こそ必要です。


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