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2014年10月28日(火)

ブラジル大統領 再選

ルセフ氏 革新政権4期目

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 南米ブラジルで26日に行われた大統領選決選投票で、左派・労働党(PT)の現職、ジルマ・ルセフ大統領(66)が僅差でブラジル社会民主党(PSDB)のアエシオ・ネベス党首(54)を破り、再選されました。選管当局はほぼ開票を終え、ルセフ氏の得票率は51・6%、ネベス氏は48・4%でした。(松島良尚)


 ルセフ氏は支持者を前にした演説で、「すべての社会分野の人々と対話する用意がある」と強調。経済活性化やインフレ対策、財政規律の確立、汚職への厳正対処とともに、国民投票を通じた政治改革を優先課題にあげました。

 PTの党員に対し、選挙戦で発揮した力をブラジル前進のための「共通の理解」を見いだす力にする必要があると呼びかけ、「歴史では、接戦がより強力かつ、すみやかな改革をもたらしたことがある」と述べました。

 ネベス氏は敗北を認め「もっとも重要なことは、国民の誇りとなる誠実な計画についてブラジルをまとめることだ」と語りました。

 ルセフ氏の再選で、2003年に発足した革新政権は4期目に入ります。4年間の新たな任期が15年1月1日から始まります。


解説

貧困層対策の重視に支持

経済活性化など課題山積

ルセフ現大統領の勝利は、有権者の多数が社会政策を重視する政治の継続を選択したことを示しています。同時に、経済の低迷や汚職の広がりなどに対する批判が高まっていることも浮き彫りになりました。

 革新政権が政権維持をかけた過去2回の選挙(06年、10年)では、好調なブラジル経済と貧困対策の成果を背景に、ルラ前大統領、ルセフ大統領とも決選投票で野党候補に10ポイント以上の差をつけていました。

 今回は、社会政策で引き続き成果を上げているものの、景気後退やインフレの高止まりなどのもとで、苦戦を強いられた選挙でした。また、サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催に反対し、公的サービスの改善を求める抗議デモにみられるように、医療や教育などへの不満も高まりました。

 こうしたもと、与党陣営は、大企業や金融界が支援する野党候補の勝利は、新自由主義政策の復活を意味し、社会政策とりわけ貧困層向け家族手当制度「ボルサ・ファミリア」は消滅するという宣伝を徹底しました。これが、手当を受給している一千数百万家庭や低所得層の支持につながりました。

 4期目に入る革新政権にとって、課題は山積しています。

 ルセフ大統領は、再選後の演説では経済活性化の取り組みを強調せざるを得ませんでした。インフレの高止まりと景気後退という困難な局面の中で、野党が主張する投資促進や税制の簡素化などにどう対応していくかが注目されます。

 「ボルサ・ファミリア」など社会政策の重要性はもはやだれも否定できません。しばしば批判される制度の不透明な適用の改善や受給者の自立支援などを含め、より民主的、効率的な社会政策に発展させていく必要が指摘されています。

 贈収賄事件はルラ前政権時代から繰り返し起きています。厳正な対処にとどまらず、革新政権ならではの清潔な政治を構築していくことが求められています。(松島良尚)



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