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2014年9月29日(月)

主張

御嶽山の噴火被害

火山国に見合った対策強化を

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 長野と岐阜の県境にまたがる御嶽山(おんたけさん・3067メートル)の噴火によって、数十人に上る大きな人的被害が発生していることは痛ましいかぎりです。御嶽山の山頂付近では、噴火時、紅葉を楽しむ登山者などでにぎわっていました。今回の事態は、大きな前兆がなくても突然起こる火山噴火の恐ろしさを示しています。

 被災者への支援と、引き続き被害の拡大を防ぐことに全力をあげるとともに、全国各地で火山噴火災害への備えを整えることが求められます。

少ない研究者・専門家

 1979年に有史以来初めて噴火した御嶽山は近年噴火を繰り返していました。2007年にも小規模噴火をしています。今回の噴火の詳しい原因調査は、これからですが、噴火がしばらく続くことも予想されます。気象庁は噴火警戒レベルを「平常」の1から「入山規制」の3に引き上げ、火山灰や噴石への警戒を呼びかけています。人的被害をさらに出さないようにするとともに、広範な地域を想定した火山灰対策も急がれます。

 御嶽山では9月に入ってから体に感じない火山性地震が増えてきたため、気象庁は火山活動がやや活発になってきたという情報を出していました。ただ、5段階ある噴火警戒レベルは、「平常」の1のままでした。地震の回数がその後減ったことやそのほかの観測状況が変わらず、噴火に結びつく状況でないと判断したためです。

 気象庁は全国で過去1万年以内に噴火を起こした火山など110を「活火山」と指定し、そのうち御嶽山や富士山など47火山を24時間監視する体制をとっています。しかし、それぞれの火山の特質や歴史は異なっており、噴火の予測は大変難しいといわれています。御嶽山の場合、1979年に大きな噴火が起こるまで歴史に残る記録がなく、どのように活動しているのか、分からないことが多いのが実情です。そのほかの多くの火山でも状況は似ているといいます。

 2011年の宮崎県の霧島山系の新燃岳(しんもえだけ)の噴火のときも事前予知はできませんでした。火山の多さに比べて、研究者や専門家が少ないことが指摘されています。観測体制が強化できないような事態は改善が必要です。そのための予算の確保や人員の配置が不可欠です。

 00年の北海道の有珠山(うすざん)噴火の際は、過去の文献などから噴火の特徴が研究され、前兆現象から予測をして住民の避難に成功しています。地元の火山を研究する学者と行政の協力のあり方を示す貴重な経験といえます。

 関係する自治体では避難計画の策定・再点検が大切です。住民の避難・救援の仕組みを整えるとともに、登山者や観光客が多く訪れる富士山をはじめ火山の特質に見合った対策も求められます。自治体をまたぎ広域化する場合が多い火山災害では、とりわけ政府の役割が重要となります。

世界の1割集中する国

 日本は、世界にある火山の約1割が集中する有数の火山国です。火山の観測・監視体制のあり方、避難計画をはじめとする噴火災害への備えを改めて点検・検証し、必要な仕組みを強めることが急務です。火山被害の危険が指摘されている九州電力川内(せんだい)原発の再稼働などは絶対に許されません。


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