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2014年9月28日(日)

政労使会議あす再開

賃金体系・残業代ゼロを議題に

賃下げ狙う財界

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 政府と財界、労働界の代表らによる「政労使会議」が29日に再開されます。「企業収益の拡大を賃金上昇につなげていく」として賃上げを打ち出した前回の合意(2013年12月20日)とは一変し、安倍内閣と財界は「賃下げ」を押し付ける姿勢をあらわにしています。

 政労使会議の議題について議論した経済財政諮問会議(16日)では、経団連の榊原定征会長らが、企業収益を拡大するために「労働生産性に見合った賃上げ」が必要だとして、「賃金体系のあり方の再検討」を提起。「年功序列型賃金カーブの是正」を行い、「仕事・役割・貢献度に基づく賃金制度」を導入すべきだと主張しました。

リストラ支援も

 これまで経団連は、「年齢や勤続年数に偏重した賃金制度から、『仕事・役割・貢献度を基軸とする賃金制度』とすることが望ましい」(07年5月15日)と主張。能力・成果主義の賃金に変えて、会社による査定で賃金抑制を行ってきました。もはや多くの大企業で「年功序列型賃金」など存在しません。

 ところが、経済財政諮問会議では甘利明担当相も「賃金のピークが定年のほうに寄ってきている」などと言って賃金制度の見直しを主張しました。消費税大増税とアベノミクスのもとで物価が上昇するなか、賃上げを求める世論が広がるのを恐れ、賃金が上がらないのは賃金体系に問題があるかのようにすりかえて、賃金を抑え込む狙いです。

 さらに榊原氏らは、「成果を重視した働き方を労使協調の下で実現すべきである」と主張。労働時間規制をなくす「残業代ゼロ」制度や低賃金で解雇しやすい「多様な正社員」の導入や、大企業などのリストラを支援する「労働移動支援」についても議題とする考えを示しました。

前回合意に背く

 これらは事実上の賃下げを進めるものであり、「賃金上昇によって経済の好循環を実現する」とした前回の政労使会議での合意にも背く姿勢です。

 しかも、非正規労働者の切実な労働条件引き上げについては、「意欲と能力に応じて」と条件を付けて抑え込もうとしています。

 長年にわたる賃金抑制が消費を冷え込ませ不況を長期化させたことから、賃上げは「論外」としてきた経団連も「ここ数年と異なる対応も選択肢となり得よう」(経営労働政策委員会報告)と、今年の春闘では賃上げを容認せざるをえなくなりました。しかし、家計の再建にはほど遠く、安倍首相も同会議で「今でもまだデフレ脱却にはなっていないので、来年も引き続き収益をしっかりと賃金に回していただくことによって消費を喚起し、好循環を維持できる」と述べざるをえないのが実態です。そういいながら、賃下げや賃金抑制を進めようとすれば、国民・労働者から厳しい批判は免れません。

 (深山直人)


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