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2014年9月25日(木)

道徳「教科化」の狙い

「戦争する国」へ思想統制

国民が求める教育に逆行

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 中央教育審議会の分科会で24日、了承された「道徳の教科化」で何がねらわれているのでしょうか。

 安倍晋三首相はこれまで教育基本法改悪(2006年)で教育の目的に「愛国心」や「公共の精神」が書き込まれたことをあげて、「いじめなんかしちゃいけないということを『規範意識』として教えていくことが大切だ。『日本人としてのアイデンティティー(帰属意識)』をしっかりと確立していくことも大切だ」(2月3日、衆院予算委)と表明してきました。

 市民道徳の教育が重要なことはいうまでもありません。しかし、それは国家が特定の価値観を押し付けるものではなく、国民一人ひとりが主体的に考え、選び取っていくべきものです。憲法で定める思想・良心の自由を国が侵すことは許されません。

国家が考え強制

 ところが、「道徳の教科化」によって国が道徳の内容を決め、教科書に書いて教えさせ、身に付いたかどうか心の中まで評価しようというのです。天皇が教育勅語で「道徳」の内容を定め、「修身」などで教え込み、子どもたちを戦争に駆り立てた戦前の軍国主義教育をほうふつさせます。下村博文文部科学相が、教育勅語の「中身はまっとうなことが書かれている」と美化したことに示されています。

 呼応するように過去の侵略戦争を肯定・美化する「靖国派」は昨年、『はじめての道徳教科書』(育鵬社)を発行。「歴史的に受けつがれた日本人の心」を教えると打ち出しました。今年6月には、下村氏が会長、安倍首相が最高顧問を務める「人格教養教育推進議連」が自民、民主、公明、維新など70人で発足。「規範形成教育の再興」を主要な柱に掲げました。市民社会の道徳ではなく、戦前の「修身」に近づく方向です。

 いじめは「規範意識」を教え込めばなくなるものではありません。滋賀県大津市のいじめに関する第三者委員会の報告書でも「道徳教育の限界」を指摘し、背景にある「競争原理と効率」を求める社会のあり方や「競争教育」の問題を指摘しています。ところが安倍内閣は、全国学力テスト実施と学校別ランキング結果の公表容認など競争主義をいっそう助長しようとしています。

ゆがんだ愛国心

 「日本人のアイデンティティー」に関して安倍首相がねらっているのも、日本軍「慰安婦」の否定など侵略戦争美化のゆがんだ愛国心の押し付けです。

 昨年策定した「国家安全保障戦略」では、日米同盟強化のために「我が国と郷土を愛する心を養う」と明記。「慰安婦」問題などで政府見解に従うように教科書検定基準と検定制度を改悪し、ゆがんだ愛国心を子どもたちに押し付ける体制を確立しました。

 すでに安倍内閣は、「私たちの道徳」という国定の教材を作成して全ての児童・生徒に配布し、使用するよう求めています。道徳教科化が実施されれば、検定教科書ができるまではこれが国定教科書となって、児童・生徒に公然と押し付けられることになるのです。

 学校だけではありません。自民党の山谷えり子参院議員(現国家公安委員長)は3月の国会質問で、図書館・公民館での閲覧や市販など活用を要求。下村文科相は積極的活用を表明し、フェイスブックで「子どもが家に持ち帰っているか調べて」と呼びかけ、教育に対する支配介入だと大問題になりました。

 「戦争する国づくり」に向けて国民の思想統制をはかる「道徳の教科化」は、憲法にもとづく市民道徳や他民族蔑視でない愛国心など国民が求める道徳教育と相いれません。 (深山直人)


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