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2014年8月20日(水)

安倍「亡国政治」 国民との矛盾激化

首相につきつけた「戦争ノー」

記者座談会

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 日本共産党の志位和夫委員長が、“安倍政権打倒の国民的大運動”を呼びかけてから1カ月余。安倍政権の暴走はお盆をはさんだ期間も続き、「亡国の政治」と国民との矛盾は劇的に広がっています。担当記者で話し合いました。


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(写真)写真は(上から時計回りに)、9日の長崎の被爆者団体代表と安倍首相の懇談、15日の全国戦没者追悼式で黙とうする遺族ら、十勝毎日新聞15日付

集団的自衛権

  安倍政権が「海外で戦争する国」づくりへの暴走を重ねたことで、戦争と平和を考える8月、さまざまな人が堰(せき)を切ったように危機感を語り始めたという印象がある。

政府式典でも

  終戦記念日(15日)の「全国戦没者追悼式」の会場で、参列者の声を聞いた。政府主催の式典だし、どんな声が出されるか不安もあったが、取材してみると安倍政権への批判や心配とともに、集団的自衛権のことを語りだす人が多く、意外な印象を受けた。

  沖縄・糸満市の男性は「最近なんだか世の中が変わって見える。また戦争したいのかという不安がある」と語ったし、「去年ここを訪ねたときはこんな怖い世の中が来るとは思ってもいなかった」と語る高齢者男性(東京・町田市)もいた。

  広島市での被爆者団体との会談も首相が国民の考えといかにかけ離れているかを示すものだった。安倍首相は代表と目も合わせようとせず、資料に目を落としたまま。途中、テーブルに両肘をつき、いかにも退屈という失礼な態度だった。広島、長崎の平和式典でのあいさつでも、昨年のものとほぼ同じで“被爆者を冒瀆(ぼうとく)するコピペ(文章の切りはり)だ”と批判が高まった。

  しかし、被爆者代表の吉岡幸雄さんはきっぱり国民の声をつきつけた。「平和公園の記念碑の石棺には『安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから』と刻まれています。集団的自衛権行使を容認した閣議決定は、この碑文の誓いを破り、過ちを繰り返すものだ。閣議決定の撤回を求めます」と。

  首相は、このときだけにらむような視線を向けて、「国民の命と平和な暮らしを守るためだ」と言い放った。

  長崎でも、市主催の平和式典で被爆者代表の城臺美彌子(じょうだいみやこ)さんが閣議決定を「日本国憲法をふみにじった暴挙です」と批判。被爆者団体代表の正林克記さんも「私たち被爆者は、集団的自衛権行使容認に絶対反対します」と直接訴えた。

  広島、長崎両方で被爆者から「ノーモア戦争」の声があがった意義は大きいね。

世論調査でも

  時事通信や日本テレビなどの世論調査では、内閣支持率は最低を更新中だし、集団的自衛権の行使容認には反対が6割近い。

  北海道新聞(2日付)では、内閣不支持が54%に達したし、「戦争に巻き込まれる不安」は82%にものぼる。十勝毎日新聞(15日付)では、環太平洋連携協定(TPP)への根強い反対もあって、内閣支持率はなんと26%、集団的自衛権賛成もわずか3%だ。

  「安倍政権ノー」の声はじわじわと広がっている感じだね。

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(写真)沖縄新基地建設のための作業強行に抗議する住民ら=18日、沖縄県名護市

恥ずべき蛮行に県民の怒り

沖縄米軍新基地

  そうしたなか、沖縄では米軍新基地建設にむけた安倍政権の暴挙がつづいている。14日には、住民の海上抗議行動を排除するため、立ち入り禁止水域を示す浮標(ブイ)を設置、18日には住民の抗議を無視して海底ボーリング(掘削)を強行した。

  浮標など資材搬入(7月)は県民の目を恐れて深夜におこなったし、ボーリングの台船設置は日曜日という異例ぶりだった。背景には、首相や菅官房長官の叱咤(しった)があったといわれている。

  10年前は「強制排除を執行すると、流血の事態を招く恐れがある」として拒否した海上保安庁が、今度は巡視船やボートを大量に出して監視。抗議する男性を羽交い締めにして強制排除しようとしたり、海域の外側に近づくだけで威嚇するなどしている。

  地元では「銃剣とブルドーザー」による米軍政下の土地接収を思い起こさせるとの声もある。

  地元紙社説は「辺野古移設は県民の74%が反対する事案だ。一県の圧倒的多数の民意を踏みにじって強行した例が他にあるか」「国際的にも恥ずべき蛮行だ」(琉球新報18日付社説)と糾弾している。

  共産党の山下芳生書記局長が指摘したように、強行を重ねれば重ねるほど、県民の怒りの火に油を注ぐ結果になるのは明瞭だ。全国戦没者追悼式に参列した沖縄県遺族連合会の40代男性は「これまで基地反対運動に参加したことはない。でも、県知事選では(新基地反対で推薦を受けている)翁長雄志(おながたけし)・那覇市長に投票したい。投票で意思表示する。政府や仲井真知事の言動は一般市民の声と感覚とは離れている。本当にきれいな海なんですよ。辺野古は」と語っていた。

個人消費下落 20年間で最大

消費税・GDP

  お盆期間中の13日には4〜6月期の国内総生産(GDP)の速報値が出たね。消費税増税の影響がどう出るか、注目された。

  前期比年率換算でマイナス6・8%の大幅な下落だったが、とくに個人消費の落ち込みがひどく、過去20年間で最大の下落幅だ。

  政府は「想定内」だという姿勢を崩していないがとんでもない。エコノミストからは「『想定の範囲内』と説明しているが、想定以上に下振れしているのは間違いない」(農林中金総合研究所主席研究員・南武志氏)、「個人消費が(増税の)反動以上に落ち込むなど景気の実勢は消費増税前よりも弱くなっている」(ニッセイ基礎研究所経済調査室長・斎藤太郎氏)との指摘が出ている。

  イギリスの有力紙フィナンシャル・タイムズ(14日付)は「警戒が必要なGDP統計が発表された今、『アベノミクス』が失速する懸念が浮上してきた」「GDPがこれほど縮小した最大の理由は政府による消費税の引き上げだ。…この変更の結果で多くの家計と企業の支出パターンがゆがめられた」と指摘。「資金力のある日本企業の財政負担を増して、家計の負担を軽くした方が賢明かもしれない」と忠告している。

  地方紙などでも「景気の失速は、金融緩和や財政出動によって企業業績の回復にばかり目を配ったツケといえる。好業績から置き去りにされた家計を底上げする対策が急務といえる」(京都新聞16日付社説)などの指摘があいついでいる。

  驚いたのは、自民党全国幹事長会議だ。富山県連の代表が「大企業の内部留保を中小企業にちゃんと転嫁してもらいたい」と発言したと報じられた。首相が唯一の頼りにする経済でもアベノミクスと国民生活や地方との矛盾が深刻になってきたことを示すものだ。

存在感増す“攻めの共産党”

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(写真)日本共産党の活動を紹介する『財界さっぽろ』8月号

  安倍政権の「亡国の政治」への怒りが広がるなかで、対決・対案・共同の立場を貫く日本共産党に注目が集まっているのも新たな特徴だ。18日朝に放映されたNHKニュース番組の解説コーナー「ここに注目」では、共産党の「一点共闘」が取り上げられた。

  私もみたよ。大阪市長選で「反橋下」共闘を実現したり、沖縄県知事選で新基地建設反対の一点で「保守系とも言える候補」の擁立に加わっていることなどをあげていた。

  一方で、「攻めの姿勢」も目立つとして、秘密保護法の廃止法案提出もあげ、世論調査で「自民、民主両党に次ぐ第3党に躍進している」ことを強調していたね。

  北海道の経済誌『財界さっぽろ』8月号では、冒頭のグラビアで志位委員長が参加した札幌市での演説会の写真が自民党や民主党の倍くらいの大きさで使われていた。そこの記事では「来年4月の統一地方選挙は野党にとって最後の決戦」とし、民主党の覇気のなさを指摘したうえで「元気があるのは『確かな野党』として存在感を増す共産党ぐらいだ」と解説していた。

  中の方の「道議選でもくろむ共産党の野望」という記事では「共産党が反安倍内閣の受け皿として存在感を増している。…道内でも党員数が右肩上がりだ。次期道議選では『定数3人以上の選挙区すべてに候補を立てる』と“攻め”の姿勢だ」と指摘している。

  京都新聞(13日付)は「共産、入党者が急増 2カ月半で若者ら5100人」との見出しで「ブラック企業や原発、消費税など、党の主張が幅広い世代に支持されている」と分析している。

  永田町を歩いていても、知り合いの記者から「入党者が5000人を超えたというけど本当か」「すごいね」と声をかけられることが多い。やはり、ここ数年、原発や環太平洋連携協定(TPP)、消費税、憲法、米軍基地など、国政の根幹にかかわる問題で、保守も含めた広範な人たちと「一点共闘」を粘り強く取り組んできたことが背景にある。ここに確信をもって、さらに力をつくしていくことが重要だね。


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