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2014年7月27日(日)

主張

子どもの貧困

「負の連鎖」断つ政策は急務だ

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 厚生労働省の最新調査で、日本の「子どもの貧困率」が過去最悪を更新しました。子どもの貧困が大問題になってから10年近くたつのに、事態が好転するどころか悪化していることは深刻です。昨年の国会で、全会一致で成立した「子どもの貧困対策法」の具体化も足踏みしています。親から子への「貧困の連鎖」を断ち切るために、抜本的な政策転換が急がれます。

社会全体にとって損失

 親の病気や死去、離婚、失業などさまざまな事情で家計が苦しくなり、子どもにしわ寄せがいく―。子どもの貧困の広がりが、厚労省の2013年の国民生活基礎調査で浮き彫りになりました。

 子どもの貧困率は16・3%となり、過去最悪です。ほぼ6人に1人の子どもが貧困状態にあることを示す数字です。国民全体の貧困率(16・1%)を上回ったのも、今回が初めてです。

 とくに苦境に立たされているのは一人親世帯です。同世帯の子どもの貧困率は54・6%と突出しています。調査のなかで、一人親世帯のほとんどを占める母子世帯の8割以上が「生活が苦しい」と答えました。「大変苦しい」と訴える母子世帯は49・5%にのぼりました。シングルマザーは働いている人たちがほとんどです。1人で子どもを育て働くという厳しい条件のなかで、いくら働いても困窮状態から抜け出せない事態は、社会のあり方として異常な姿です。

 最近は両親のいる世帯で子どもの貧困が広がる傾向があるといわれています。父親が失業し、母親が非正規雇用の子育て世帯の増加などです。親の過酷な雇用・経済環境が子どもたちを直撃していることはきわめて重大です。

 貧困状態に置かれた子どもたちは、食事も満足にとれず、病気になっても十分な治療を受けられないなど健康が脅かされています。給食費や教材費、修学旅行費などが負担できず学校生活から脱落する子どもも生まれています。経済的理由から進級・進学を断念する例は後を絶ちません。

 家庭や子どもの「自己責任」ではすまされません。未来を担う子どもが劣悪な状態に置かれ、将来の可能性を奪われていることは、子どもの人生にマイナスだけでなく、日本社会の重大な損失です。

 当事者が声を上げにくく「見えにくい」とされる子どもの貧困が問題化したのは06年の経済協力開発機構(OECD)報告書で、日本の子どもの貧困率が国際的に高いことが判明したことなどがきっかけでした。子どもの貧困打開を求める国民の世論と粘り強い運動で成立した「子どもの貧困対策法」は、「子どもの将来がその生まれ育った環境で左右されることのない」ことを掲げました。

 しかし、成立から1年以上たつのに政府の責任である大綱策定は予定よりずれ込んでいます。実効性のある充実した対策づくりを急ぐべきです。

逆行する政策の中止を

 雇用破壊と消費税増税・社会保障解体をすすめる安倍政権の政治は、子どもの貧困を加速させる暴走です。生活保護費削減や、就学援助の縮小、一人親世帯への児童扶養手当のカットなどは、子どもをもつ生活困窮世帯を追い詰めています。逆行した政策を中止させ、子どもたちを応援する政治へ転換することが必要です。


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