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2014年7月9日(水)

主張

最低賃金引き上げ

暮らしの「底上げ」のため急務

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 ことしの最低賃金をいくらにするか、国としての「目安」を決める審議が、厚生労働省の中央最低賃金審議会(最賃審)で始まっています。月末までに国としての目安を決め、その後、地域別などの最低賃金が決まります。現在の都道府県単位の最低賃金は全国平均でも764円でしかなく、1日8時間、月25日働いても15万2800円にしかなりません。これではとても暮らしていけず、異常な長時間労働や「ワーキングプア」(働く貧困層)増大などの原因です。少なくとも全国一律で時給1000円以上を実現してほしいという、労働者の声は切実です。

まともに働けば暮らせる

 最低賃金は、「賃金の低廉な労働者」に、「賃金の最低額を保障する」という最低賃金法(第1条)にもとづき、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその額以上の賃金を支払わなければならない制度です。最低賃金以下の労働・雇用契約は無効とされ、最低賃金制度を守らなければ罰則もあります。

 働くものに生活を保障する最低賃金制度の趣旨を貫けば、労働者の「生計費」を基準に最低賃金を大幅に引き上げ、全国どこでも地域格差のない、一律の最低賃金を実現することが不可欠です。とりわけ、最低賃金ぎりぎりの賃金水準で働かされている労働者の多くは、派遣やパート、アルバイトなど非正規雇用の労働者です。最低賃金の引き上げはこうした人たちの生活を安定させるとともに賃金全体を「底上げ」し、まともに働けば暮らしていける社会を実現するうえでも重要です。

 最低賃金は長年にわたって低い水準に抑えられてきたため、最低賃金の水準が生活保護基準さえ下回る、いわゆる「逆転現象」が大きな社会問題になってきました。ここ数年、政府も「逆転現象」を無視できなくなっていますが、依然として最低賃金の水準は低く、「賃金の最低額を保障する」という本来の趣旨からは程遠い実態です。政府の統計でさえ北海道では「逆転現象」を認めています。

 とりわけ重大なのは安倍晋三政権が発足して以来の「アベノミクス」といわれる経済政策で、労働者の賃金は上がらないのに円安や消費税の増税で消費者物価が上昇し、実質賃金の目減りが深刻になりつつあることです。ことしの春闘でベースアップがあった大企業でも賃上げはせいぜい2%ほどなのに、消費者物価は倍以上も上がっています。5月の家計調査報告(速報)では勤労者世帯の実収入は実質で4・6%の減少です。これでは暮らしは悪くなる一方です。

 最低賃金の引き上げで労働者の賃金を「底上げ」し、働く人たちの所得を増やして暮らしをよくすることが、経済の再生にとってもいよいよ欠かせない課題です。

欧米でも引き上げの動き

 労働者の最低賃金を引き上げ、労働者の所得を増やして経済を再建するのはいまや世界的な流れです。アメリカのオバマ大統領はことし1月の一般教書演説で最低賃金の引き上げを打ち出し、各地でも引き上げの動きが始まっています。ドイツ連邦議会も最近、全国一律最低賃金制度の導入を決めました。

 日本でも安倍政権が最低賃金の引き上げに真剣に取り組むことが問われています。その実現のための、世論と運動が求められます。


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