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2014年7月3日(木)

再審請求 首相に抗議

砂川事件 元被告らの思い

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 1957年に米軍基地拡張計画をめぐって起きた砂川事件が半世紀の時を越えて、二つの注目を集めています。一つは、事件の元被告らが東京地裁に再審を請求したこと、もう一つは安倍首相らが一時期、事件の最高裁判決を集団的自衛権行使の法的な根拠として引用していたことです。再審請求人はいま何を思うのか。

 (竹原東吾)


写真

(写真)旧米軍立川基地の滑走路跡前にたつ椎野さん=6月23日、東京都立川市

 元被告の椎野徳蔵さん(82)が6月23日、旧米軍立川基地周辺を訪れました。「土地は人間が生きていく衣食住のもと。強制的に出ていけというのは強盗と同じだ」。基地拡張に反対する住民闘争(砂川闘争)を支援した思いを語ります。

 国鉄労働組合新橋支部の「ぽっぽや」(鉄道員)で、農家出身。卒業したのも農業高校で、「土地に杭(くい)を打たれてたまるかという思いはよく分かる」。軍用機が顔も熱くなるほどの爆風をふかすなか、「飛ばされてなるものか」と基地の柵に立てた組合旗にしがみついた記憶がよみがえります。

司法の“犯罪”

 再審請求のきっかけは、国際問題研究者の新原昭治氏らが2008年以降に入手した一連の米政府解禁文書です。最高裁判決をめぐって、当時の田中耕太郎最高裁長官が米国大使と密談、裁判の時期や見通しを伝えていた事実が判明しました。

 最高裁は“米軍駐留は憲法違反”と断罪し全員無罪とした一審判決(伊達判決)を破棄・差し戻し。元被告らは「公平な裁判所」(憲法37条)の裁判ではなかったと主張しています。

 椎野さんは「司法が憲法違反をやってのけた。これは“犯罪”で、国を売る裏取引だ。“犯罪者”が憲法を語るなといいたい」と強い口調で話します。

今はチャンス

 6月17日、東京・霞が関の司法記者クラブ。記者会見した元被告の土屋源太郎さん(79)は「汚染された裁判で、無効だ」と厳しく批判しました。判決が集団的自衛権行使の法的根拠にされたことにもふれ、「(再審請求は)安倍首相への抗議行動だ」と強調しました。

 請求人の一人、坂田和子さん(57)は元被告で昨年急逝した坂田茂さん(元日本共産党川崎市議)の長女。「父が生きていれば大喜びだったと思います。さぞかし記者会見の場にいたかったでしょう」と笑います。

 生前は「家族を顧みないことを何とも思わない」(和子さん)ほど平和運動や議員活動に打ち込みました。

 「事件は教科書にもでていて、『お父さんが関わった』って誇らしげに語っていました。判決が集団的自衛権の根拠とされたことに憤りを感じますが、裁判のおかしさを強調する好機です」

「不公平で無効」

 米政府解禁文書を入手した一人でジャーナリストの末浪靖司さんの話 「米軍駐留は合憲」とされた最高裁判決によって、米軍の行動はすべて治外法権におかれました。そのもとで米軍は日本からベトナムやイラク、アフガン戦争に出撃していきました。米軍を補完する形で今度は自衛隊が出撃する。これがいま議論されている集団的自衛権の本質です。当事者である元被告が「不公平な裁判で無効だ」と主張していること自体に、大きな意義があります。再審が通れば、最高裁に否定された伊達判決が浮かび上がることになります。


 砂川事件 1957年7月に砂川町(現東京都立川市)で、米軍立川基地拡張に反対する労働組合員や学生らが、境界柵を壊し基地内に立ち入ったとして起訴された事件。


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