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2014年5月16日(金)

医療・介護総合法案

高橋議員の反対討論

衆院本会議

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 15日の衆院本会議で医療・介護総合法案の採決に先立ち、日本共産党の高橋ちづ子議員が行った反対討論の要旨は次の通りです。


写真

(写真)反対討論する高橋ちづ子議員=15日、衆院本会議

 昨日の衆院厚労委員会で全野党の反対を押し切って採決を強行したことに満身の怒りを込めて抗議します。本法案は19本もの法律の改定を含んでおり、内容は多岐にわたります。一括審議に付すこと自体、きわめて乱暴なやり方です。参考人質疑と地方公聴会の11時間を含めてもわずか39時間の審議しか行われていません。

 しかも参考人や陳述人からは撤回を求める声や強い懸念が相次ぎました。どんなに貴重な意見がだされても採決ありきで一顧だにされないなら、国会の存在意義が問われます。

 医療事故調の創設には医療界や遺族などからさまざまな意見が寄せられており、法案から切り離して集中審議を行うよう求めましたが、実現しませんでした。審議が尽くされたとは到底言えず、審議を打ち切って採決することは断じて認められません。

 本法案の大きな柱とされている地域包括ケアシステムは、その趣旨とは大きくかけ離れ、国民を医療や介護から追い出すものにされています。

 地域医療は、医師不足や看護師不足が進み、医療崩壊といわれるほど深刻な危機にあります。本法案は、診療報酬改定とあわせ、高度急性期の病床を削減し、患者を在宅医療や介護へ、いわば川上から川下へと誘導する仕組みをつくるものです。そのための地域医療構想の策定にあたっては、新たに民間病院にもペナルティーを科して病床規制を行います。

 今でも早期退院が迫られ、患者はリハビリもないまま在宅に戻されています。特養ホーム待機者が52万人を超える中、ショートステイの長期利用など、高齢者の漂流している実態が明らかになってきました。

 政府は「重度でも在宅で」の掛け声のもと、医療行為を看護師に移す「特定行為」を訪問看護の切り札と認めました。法施行後、省令によって拡大もできるといいます。今でさえいつ医療事故が起きてもおかしくないという現場の叫びを直視すべきです。これでは医療崩壊に拍車がかかるのは明白です。

 要支援者向けの訪問介護と通所介護は介護保険サービスから外され、市町村が行う総合事業に移され、ボランティアなどの多様な担い手が行うとされました。参考人質疑の中でも、要支援は軽度者ではないこと、変化に気づき重症化を防ぐ、尊厳をもった自立した生き方を支援するヘルパーの専門的な役割が浮き彫りになりました。

 厚労大臣は「必要な人は専門的なサービスを受けられる」といいながら、受けられる人が少数にとどまることを認めました。介護認定によらないチェックリストに誘導し、自治体の窓口で認定から締め出す水際作戦にもなりかねません。

 昨日の質疑で安倍総理は「自治体の特性を生かす」「サービスを抑制するものではない」と答弁しましたが、給付費の伸び率管理をしているのですから詭弁(きべん)にすぎません。

 特養ホームへの入所を要介護3以上に締め出し、一定の収入のある人の利用料を倍にすれば、介護が必要なのに介護保険から締め出される高齢者が増えることは避けられず、認められません。

 本法案は安倍内閣が進める社会保障と税の一体改革の具体化であり、社会保障を本人と家族の責任においやるものです。認知症の夫を死亡させたのは妻の責任と断じた名古屋高裁判決は絶対容認できませんが、今向かっているのはまさにそういう社会ではありませんか。介護保険創設当初の「介護の社会化」という理想も投げ捨て、憲法25条を否定する本法案は廃案にすべきです。


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