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2014年5月14日(水)

主張

医療介護の大改悪

異論続出なのに強行するのか

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 安倍晋三内閣と自民・公明の与党は、衆院厚生労働委員会で審議中の「医療・介護総合法案」の採決を14日にも強行する構えです。審議では、医療・介護のいままでの仕組みを根本から突き崩し、国民の安心を奪う法案の重大な中身が、ますます明らかになっています。住民と身近に接して医療・介護を担う地方自治体からは異議申し立てが噴出しています。とても採決できる段階ではありません。国会での多数の力で押し通すことは許されません。

「理念を否定」の声次々

 「介護サービスが低下しかねない」「受け皿が不足している」―。今週に入り相次いで行われた地方公聴会(大阪市と甲府市)や参考人質疑では、法案への現場の懸念や不安の声が続出しました。

 とくに批判が集中したのは、要支援1・同2の訪問介護・通所介護を国基準の介護給付から切り離し、市町村事業に丸投げする介護保険法の大改悪案です。甲府の地方公聴会で山梨県医師会長が「拙速な推進は介護難民をつくりだす」「市町村間に差がでることは大きな問題点だ」と述べたことなどは医療・介護を提供する側の強い懸念を示すものです。

 参考人質疑では「認知症の人と家族の会」理事が「利用の入り口をせばめられる」「重要な認知症の初期対応の支援が困難になる」と改悪案の撤回を迫りました。厚労省自身がすすめている認知症対策にも完全に逆行する改悪案の危険な姿を浮き彫りにしています。

 改悪案にたいする地方議会からの異議申し立て意見書は210にも達しました。ほとんどの意見書は、市町村によって介護サービスの質に大きな差がついて不均衡になり社会保障の公平性が維持できなくなることへの懸念を表明しています。一定所得以上の人の介護サービス利用料を2割負担にすることは、住民のサービス利用を抑制して症状の悪化につながることの問題をあげ、その弊害を強く警告するものも少なくありません。特別養護老人ホームへの入所基準を原則「要介護3以上」に限定することについては「現場の実態とかけ離れている」と撤回を求める意見書が目立ちます。

 「介護の社会化に逆行し、制度の理念を否定するも同然」「理念を壊しかねない制度変更」という意見書の痛烈な批判は、介護保険制度の根幹を破壊し、国民の願う安心の介護とは無縁の改悪案の本質を突くものです。国民や地方の叫びを無視して強行すること自体、法案の道理のなさを示しています。

 介護保険関連だけでもこれだけの大改悪が盛り込まれている医療・介護総合法案の重大性はそれにとどまりません。

徹底審議で廃案に

 法案は入院患者の締め出しにつながる「病床再編」を推進する医療法改悪案など十数本の法改定案がひとまとめにされています。看護師の医療行為の拡大案や医療事故調査の仕組みにかかわる案など、本来ひとつひとつの徹底審議が必要な改定案ばかりです。短時間審議で「一丁あがり」と押し通すことはできないはずのものです。

 国民の命と健康、高齢者と家族の安心の体制にかかわる重大法案を、スピード審議ですまそうとする安倍政権と与党のやり方はまさに暴走です。徹底審議で廃案に追い込むことが必要です。


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