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2014年4月24日(木)

主張

労働時間上限撤廃

人間破壊の押し付けが改革か

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 労働基準法で「1日8時間、週40時間」と定められている労働時間の上限を取り払い、どんなに長く働いても残業代はゼロにする企てが、本格的に動きだしています。安倍晋三首相が議長をつとめる政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議の22日の合同会議で財界が提案したもので、安倍首相も「時間」ではなく「成果」で評価される新たな制度の検討を促しました。労働時間の上限撤廃は労働者に苦痛を押し付け人間性を破壊し、「過労死」さえまん延させるものです。「ブラック企業」が社会問題になり人間らしい働き方が求められている流れにも逆行するものです。

「残業代ゼロ」法案の復活

 労働時間の上限を取り払い、残業代をゼロにする企ては、主に研究開発や事務労働者を対象にした「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間規制適用除外)制度として、第1次安倍政権の時代に計画されたことがあります。長時間労働や「残業代ゼロ」を押し付け、「過労死」を助長すると批判をあび、日の目を見ないで撤回せざるをえませんでした。

 しかし安倍政権が復活したあと再びその動きが強まり、昨年末第2次安倍政権で新たに設けられた産業競争力会議と規制改革会議が相次いで労働時間規制の見直しを提案しました。規制改革会議の提言を受け、厚生労働相の諮問機関、労働政策審議会でも検討が始まっています。22日の合同会議での財界の提案と首相の指示は、その企てを本格化させるものです。

 経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事による財界の提案は、労働時間ではなく「成果」をベースに賃金を支給するとし、「労働時間上限要件型」と呼ぶAタイプと、「高収入・ハイパフォーマー型」と呼ぶBタイプを提案します。Bタイプは年収1000万円以上などを条件に規制を撤廃するものでかつての「除外」制度に似ていますが、Aタイプは国が労働時間の上限の基準を示すだけで、労使が合意さえすれば一般の社員でも労働時間規制の対象外にできる、底無しの長時間労働解禁制度です。合同会議に出席した田村憲久厚労相からも「労使関係では企業の立場が強い」と異論が出たように、労働者の生活を根底から脅かすものです。

 安倍首相も「時間」ではなく「成果」で評価するのはいいことのようにいいましたが、それは結局、企業が求める「成果」が出なければ、労働者を何時間でも何日でも働かせるということです。24時間365日働かせて、残業代も深夜手当も休日出勤手当も保障されません。労働者の健康と生命をむしばみ人間性を破壊して、家庭や地域まで崩壊させます。

異常な長時間の規制こそ

 いまでさえ日本の労働者の異常な長時間労働は世界的に有名です。労働時間を規制し休日や休暇を保障するのは、労働者自身の健康を維持するためにはもちろん、家族や地域での人間らしい暮らしにとっても不可欠です。「ブラック企業」に象徴されるような長時間労働があとを断たないことが世界に例を見ない「過労死」や自死・自殺を生んでいます。

 安倍政権は労働者に「生涯ハケン」を押し付ける労働者派遣法の大改悪など、労働法制の改悪に懸命です。労働法制の改悪を共同の力で阻止することが、人間らしい生活を取り戻すうえで重要です。


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