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2014年3月12日(水)

主張

労働者派遣法改悪

「生涯ハケン」押し付け許さず

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 政府は11日、労働者派遣法の改定案を閣議決定しました。改定案は、労働者派遣の大原則を投げ捨て、企業が派遣を「常用」できるようにする大改悪案です。働く者にとっては、正社員になる道が閉ざされ、不安定雇用のまま「生涯ハケン」が押し付けられることになります。日本共産党は、このような大改悪に断固、抗議するとともに、法案の成立を断念するよう政府に強く求めるものです。

臨時的・一時的が原則

 労働者派遣は、「臨時的・一時的業務に限定する」、「正社員がおこなっている業務を派遣労働に置き換えない(常用代替禁止)」というのが、世界であたり前の原則です。そもそも派遣労働というのは国際的には「テンポラリー・ワーク(臨時労働)」、あるいは労働者とユーザー企業とのあいだに仲介企業(エージェンシー)が存在することから、「テンポラリー・エージェンシー・ワーク」と呼称されています。派遣労働が臨時的・一時的業務に限定されていることは、その名称からも明瞭です。

 日本政府も、過去の派遣法改定にあたっては、いく度となくこの原則を確認してきました。「同一業務」における派遣受け入れ期間を「原則1年、最大3年」にするという期間制限は、この原則の実効性を担保する大切な措置です。

 ところが改定案は、この派遣受け入れ期間制限を完全に骨抜きにしています。3年ごとに派遣先の過半数労働組合等の意見聴取の手続きさえとれば、同一事業所内であっても、派遣労働者を入れ替えることによって、いつまでも継続して派遣労働者を受け入れることが可能になります。

 また、派遣元に常時雇用されている無期雇用派遣や60歳以上の高齢者の場合等には、同一派遣労働者を同一業務に3年をこえていつまでも継続して受け入れることができます。まさに「生涯ハケン」そのものです。

 改定案は、派遣労働者の均等待遇にも背を向けています。派遣先の正社員と同じ仕事をする派遣労働者に、賃金や有給休暇等の労働条件について均等待遇を保障するのは、国際ルールです。ILO「民間職業仲介事業所条約」(181号)やEU「派遣労働指令」は、派遣労働者の保護措置として均等待遇を明記しています。

 改定案は、「派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ…当該派遣労働者の賃金を決定するように配慮しなければならない」と定めるだけで、きわめて不十分かつ実効性がまったくありません。派遣労働者にとっての切実な要求である均等待遇に反しているのは明らかです。

雇用大破壊の逆流

 今回の改定案に見られるように、安倍政権は、「世界で一番企業が活躍しやすい国」のスローガンのもと、正社員にも、非正規社員にも、不安定雇用を広げ、賃下げと労働条件悪化をもたらす、雇用大破壊の逆流を押し付けようとしています。国際社会が「ディーセント・ワーク(人間らしい労働)」(ILO)や「質の高い雇用を通じた成長」(G20宣言)をかかげるなかで、日本政府は逆行しています。

 日本共産党は、広範な労働組合と共同して、労働法制の大改悪に反対し、賃上げと安定した雇用の拡大を実現するために、全力で奮闘する決意です。


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