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2014年2月12日(水)

路線バス運転手 悲鳴

毎日だれか残業 待遇はアルバイト並み

人手不足 都市部にも

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 路線バス運転手が不足して都市部でも日常の運行や安全に支障をきたしている―。国土交通省は昨年12月、学識経験者やバス事業者らによる「検討会」を設置しました。背景に何があるのか…。(遠藤寿人)


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(写真)運転手不足が深刻な路線バス=東京都新宿区

 同省が発表した資料「バスの運転者を巡る現状について」によると、バスの運転に必要な「大型2種免許」の保有者は約102万人。15年前と比べ20万人減っています。同様に「路線バスの運転手」もピーク時(1975年)から2万人減少して、2010年現在、8万人です。

 東京都の大手バス会社の50代運転手は「免許のない人を雇って会社のお金で免許を取らせる制度もあるが、運転手の補充が間に合わない。ダイヤに穴を開けることはできないので毎日、だれかが残業している。『休日も出てくれ』と半ば強制される。やらないと賞与の査定で差をつけられる」と話します。

劣悪な労働

 業界団体「日本バス協会」も「運転手の待遇が、労働条件に対して魅力的でなくなっていることが、運転手の確保を困難にしている一因である」と指摘しています。

 路線バス運転手の年間労働時間は2544時間、全産業と比べ約400時間長い。それに対して、年収は446万円と全産業男子の平均530万円を大きく下回っています。

 国交省も「輸送人員の減少による収入源を人件費削減によりカバーしてきた結果」としています。平均年齢も48・5歳と全産業と比べ6歳も高くなっています。

 「手取り月20万円前後。健康保険があるだけで、待遇はコンビニのアルバイトと変わらない。それで事故の危険を冒すのは割にあわない」と話すのは、都内の中堅バス会社に勤める30代運転手。「バスに遅れが出ると、折り返し地点で休憩時間も取れない。到着とともに出発する『着発』が続き、トイレにも行けず4、5時間、運転しっぱなしになる」といいます。

居眠り運転

 前出の50代の運転手は「次の出番まで8時間しかない勤務もある。寝不足で居眠り運転を何度もした。頭をたたいても眠い。事故を起こすか、自分が過労死するかだ。接触など大小さまざまな事故が毎日のように起きている」と話します。

 国交省は路線バス事業者について、規制緩和による新規参入や分社化の影響で「増加傾向」にある一方、輸送人員や営業収入は「年々減少傾向」で「地方部の減少が著しい」と指摘。地方のバス会社では4分の3の系統が赤字系統」で「路線廃止」や「経営破たん」が各地で起きているとしています。


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