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2014年2月6日(木)

集団的自衛権 首相、行使容認前のめり

参院予算委 「解釈の変更で可能」

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 安倍晋三首相は5日の参院予算委員会で、海外での武力行使に道を開く集団的自衛権の行使容認について、「政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能だ。憲法改正が必要だという指摘は当たらない」と述べ、憲法解釈の変更によって行使を認めうるとの考えを明言しました。民主党の羽田雄一郎氏への答弁。

 憲法解釈の変更を議論している「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、4月にも安倍首相に自衛隊の武力行使の全面的な緩和を提言する報告書を提出する見通し。首相の答弁は、この報告書を踏まえて、政府が憲法改定の手続きを経ることなく、解釈変更で憲法9条の空文化に踏み出す方針を表明したものです。

 今国会の答弁を通じ、首相は「懇談会から報告書提出後に対応を検討する」と述べるにとどまっていました。

 安倍首相は、「(集団的自衛権を行使できる法制度が)今ないことによるデメリット(損失)に直面している」とも述べ、行使容認に前のめりの姿勢を示しました。また、実際の行使にあたって、(1)憲法の解釈変更(2)法律の整備(3)行使するかどうかの政治的判断―の三つの段階を踏む必要があるとの認識を示しました。

解説

立憲主義覆す“禁じ手”

 安倍晋三首相が、自衛隊の海外での戦争参加に道を開く集団的自衛権の行使容認について、憲法改定でなく、政府解釈の変更で進める方針を表明しました。

 集団的自衛権とは、日本が攻撃されていないにもかかわらず、密接な関係を持つ他国が攻撃された場合に日本が参戦する権利のことで、日本の「防衛」とは無関係です。歴代政府は集団的自衛権について権利は持つものの、「憲法上許されない」との立場を示してきました。

 首相が国会で、この権利の行使が解釈変更で「可能」との認識を示したのは初めてとみられ、従来の憲法解釈を踏み越える答弁です。解釈変更で海外での武力行使を認めることになれば、戦争や武力行使の放棄をうたった憲法9条は空文化します。

 首相の表明は、事実上の改憲を国会発議や国民投票といった憲法改正手続きを踏まずに安倍内閣の一存で決定するというもので、立憲主義そのものを覆す禁じ手です。

 安倍首相は集団的自衛権が行使できないことで「デメリット(損失)に直面している」とし、集団的自衛権行使の必要性を強調します。しかし、首相自身が米国艦艇の防護しか具体事例としてあげられないように、集団的自衛権行使ができないために日本の安全が損なわれている現実などありません。 (池田晋)


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