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2014年2月3日(月)

年金記録解明 幕引き図る

2000万件超が未解明 「最後の1人まで」約束どこに

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 だれのものか分からない年金記録について政府の年金記録問題に関する特別委員会が、記録解明に幕引きをはかる報告書をまとめました(17日)。いまだに2千万件以上の年金記録が未解明にもかかわらず打ち切っていいのか。6年間の動きを振り返ると―。(深山直人)


グラフ:年金記録5095万件の状況

 年金記録が大問題になったのは第1次安倍内閣の2007年。5095万件にものぼる不明記録の存在が発覚したことでした。1997年に基礎年金番号を導入するまでは年金ごとに別の番号で管理し、転職や結婚などのたびに別の番号がつけられていたのに統合されずにいたためです。このままでは年金がもらえなかったり、減額されるため、公的年金に対する信頼を揺るがす大問題でした。

安倍首相が約束

 安倍首相は当時「最後の一人まで正しく年金をお支払いしていく」と繰り返し言明。政府・与党は、08年3月末までに「確実に名寄せ(氏名と記録の照合)を完了させます」と約束しました。さらに、古い紙台帳とオンライン記録との不一致、年金額が決まる報酬月額の誤りなど新たな誤りが次々と発覚し、年金記録の根本的再確認も表明しました。

 それから6年。いまだに解明されていない記録は2112万件。うち927万件(723万人)は持ち主の手がかりさえ得られていません。死亡した人のものと考えられる記録を除いても60歳代までの記録が7割もあります。解明できた記録でも、本来の持ち主に統合できたのは約6割。4割は死亡などのため統合できていません。

 さらに、9・5億件にのぼる紙台帳との照合は完了しておらず、これまでに100万件以上の新たな不明記録が発覚しています。

 ところが特別委の報告書は「これ以上は本人からの申し出と記憶などを基に調査をしていくしか方法がない」として、政府の責任による解明を基本的に打ち切る方向を打ち出したのです。

 しかし、記録の持ち主と思われる人に郵便で問い合わせたものの未回答のものだけでも319万件もあり、責任が果たされたとは到底いえません。

職員1万人削減

 そもそも厚労省は、膨大な不明記録を知りながら抜本的対策を取ってきませんでした。50年以上前から「(記録の)整備は完全なものと認められない」「正確化をはかる必要がある」(行政管理庁勧告、1959年)と指摘されており、厚労省と社保庁幹部の責任は極めて重大です。

 しかも、記録解明には経験ある専門職員が必要なのに、社会保険庁を解体・民営化し、正規職員2900人、非正規職員を含めると約1万人を削減。解明作業の一端を派遣会社に丸投げし、外国人を使って大量の入力ミスを出す事態まで引き起こしたのです。人員削減のため強行した分限免職(解雇)も、人事院から取り消し処分を受けるなど無法が断罪されています。

 報告書は今後の課題として年金機構の「人の質と量に問題」と指摘しました。しかし、そんな事態を招いたのは、社保庁を民営化し大量の職員を削減したためです。「質と量」をいうのなら、分限免職を撤回し、人員の抜本的拡充など年金記録の徹底解明と年金制度の運営管理に責任を果たす体制の確立がいよいよ迫られています。


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