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2014年1月12日(日)

街壊す超高層マンション

「都市再生」「規制緩和」で進む

強風で負傷■人口急増、校舎不足

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 超高層マンションが乱立しています。“アベノミクス”“消費税増税前”効果か「好調な売り上げ」といいます。その一方で、風害、日影、人口急増によるインフラ不足など、深刻な街破壊がすすんでいました。(芦川章子)


写真

(写真)商店街の後ろにそびえたつ超高層マンション=川崎市中原区の武蔵小杉地区

 木造住宅や商店の真後ろから突如100メートルを超える巨大な壁がそそり立ちます。

 川崎市中原区の武蔵小杉地区。2007年ごろから再開発が活発になりました。すでに駅周辺には20階建て以上のマンション10棟が林立。今後、低中層住宅が広がる住宅地に160〜185メートル(44〜54階建て)の計6棟が建つ予定です。

 街の激変でさまざまな影響が起きています。

市民の8割被害

 その一つが風害です。

 先代から70年以上、食品店を営む男性は「ちょっと風がふくと立っていられない」と怒りをあらわにします。ほかにも「ドアが開くたびに商品が飛ぶ」(コンビニ店員)、「南風が抜けず夏暑い」(商店主)という声も。

 開発計画に反対している市民団体「小杉・丸子まちづくりの会」が行った市民約200人への聞き取りでは、被害をうけた人は8割にのぼります。「傘が壊れ、びしょぬれになった」「飛ばされそうになった」「自転車で倒れた」「木にしがみついた」「骨折した」という被害も多数に。昨年5月には街路樹が倒れました。

 日照被害も深刻です。

 同会が行った住民環境アセスメントでは、約4300棟の建物が日影の影響を受けるとしています。

 さらには、大規模修繕時の合意形成、長周期地震動などの災害対策、ヒートアイランドへの影響など不安材料はつきません。

 11年の東日本大震災時、エレベーターが止まり帰宅できなくなった超高層マンションの住民が地域の避難所にあふれたといいます。

 こうした都市計画案に昨年、住民の反対意見書約4万通が市に提出されました。日本共産党は、市議会で計画の見直しを繰り返し迫っています。

安倍政権下でも

グラフ:超高層マンション(20階建て以上)の建築棟数

 問題は各地で起こっています。

 千葉県習志野市では民間丸投げの駅前再開発で住民が急増。学校や保育園が不足し、このままではプレハブ校舎を増設しても対応できない事態です。

 不動産経済研究所によると、20階以上の超高層マンションは、首都圏、大阪府、広島県、愛知県など全国で昨年だけで82棟、この11年間で約1000棟が完成しています。(グラフ参照)

 これを可能にしたのが国の規制緩和です。

 2002年「都市再生特別措置法」をはじめ一連の規制緩和策を制度化。大手不動産の利益にそって、高層ビルを建てやすくする容積率緩和などを盛り込みました。昨年末、安倍内閣は「国家戦略特区法」でさらに容積率を緩和。都市をより高層、高密度にするつもりです。

 新築住宅を過剰供給し、都市を過密化させる一方で、全国の空き家率は13%と増え続けています。

 「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会」の小磯盟四郎事務局長はいいます。「容積率緩和で企業は数百億円相当の床面積を手に入れるのに、住民には被害だけ。こんなゆがんだ都市計画が許されていいのでしょうか」

国や自治体の税金投入背景に

 「区画整理・再開発対策全国連絡会議」の遠藤哲人事務局長の話 建設ラッシュの背景に、規制緩和と同時に国や自治体が「再開発補助金」として、事業費の3割近くまで税金を投入してきたことがあります。開発によるトラブルは全国で起きています。まちづくりはどうあるべきか。いま一度、問いただすべき問題です。

 容積率 敷地面積に対してどのくらいの床面積を建てられるかという倍率。建築基準法にもとづき、上限は地方自治体が定めています。緩和によってビルの高層化が可能に。


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