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2014年1月5日(日)

新しい世界を求めて

中国 元「慰安婦」支援続け30年

山西省・民間研究者 張双兵さん

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地図

 山西省の省都・太原市から東へ80キロにある盂(う)県羊泉村。この山に囲まれた貧しい農村で小学校教師を務めるかたわら、旧日本軍の性奴隷にされた女性を支援する活動を30年間続けている男性がいます。張双兵さん(60)は同省に住む元「慰安婦」123人の聞き取り調査を1人で行ってきました。

 張さんの日課は、元「慰安婦」やその家族に会うこと。張さんが訪れると、女性たちはうれしそうに起き上がり、手を握り締めて、体調や生活の実情を訴えます。

調査記録の本

 1995年から山西省の元「慰安婦」計16人が日本政府に謝罪と賠償を求めた複数の裁判を支援。日本も6回訪れ、自ら法廷で証言しました。

 しかし2007年の最高裁判決で原告の敗訴が確定。その後は女性たちの生活支援に力を入れています。

 「16人の原告の多くは亡くなり、健在なのは3人だけ。調査した123人の女性のうち生きているのは20人にも満たない。みな高齢で、体も悪く、医療が不十分です」

 2011年5月には調査記録をまとめた本『トーチカの中の女性』を出版。「慰安婦」問題の民間研究者としてメディアにも取り上げられました。

写真

(写真)元「慰安婦」の張改香さん(89)(右)の話を聞く張双兵さん。改香さんは半年前から寝たきりの状態です=2013年12月9日、中国山西省盂県

 張さんがこの活動を始めたきっかけは1982年に元「慰安婦」の侯冬娥さんに出会ったことでした。

 当時のことを聞きたいと思った張さんは何度も侯さんの家に通いましたが、侯さんは口を開こうとはしません。92年、中国人強制労働の被害者が裁判を起こそうとしているという新聞報道を見つけた張さんはそれを持って侯さんを訪ね、被害者として日本政府を訴えようと説得。侯さんは、数カ月にわたり毎晩何人もの日本兵に強姦(ごうかん)された経験を張さんに語りました。

再び傷つけた

 その後、山西省中を歩き回り、元「慰安婦」の話を聞き続けました。「気づいたら30年たっていました。裁判で解決し、もっと早く終わると思っていた。しかし後悔はしていません」

 昨年、日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が「慰安婦制度は必要だった」などと発言。安倍晋三首相も「慰安婦」の強制連行を否定するなどの言論を繰り返しました。

 張さんは昨年6月、元「慰安婦」の声をまとめ、日本政府と大阪市宛てに抗議文を送りました。張さんはこう憤ります。

 「彼らの発言は歴史の事実を認めないものです。被害女性たちを再び傷つけました」

 (中国山西省盂県=小林拓也 写真も)


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