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2013年12月26日(木)

「規制せず」と国を断罪

泉南アスベスト第2陣訴訟 高裁でも勝訴

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(写真)控訴審判決で国の責任が認められ、勝訴の紙を手に喜ぶ泉南アスベスト2陣訴訟の原告ら=25日午後、大阪市北区

 大阪府泉南地域のアスベスト(石綿)紡織工場の元労働者やその家族らが、中皮腫や肺がんなど深刻な健康被害を受けた責任は規制・対策を怠った国にあると、損害賠償を求めた泉南アスベスト国賠第2陣訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁でありました。

 山下郁夫裁判長は、高裁では初めてアスベスト被害に対する国の責任を認め、被害者33人のうち31人について総額3億4474万円の賠償を命じる一審につづき原告勝訴の判決を出しました。

 判決は、1958年3月までには石綿肺に関する、また72年ころまでに石綿粉じん暴露と中皮腫との関係性に関する医学的知見がそれぞれ確立されたと認定。58年5月までには粉じんを防止・抑制する局所排気装置の設置を義務付けるべきであり、88年9月まで石綿粉じん濃度規制の強化をしなかったのは違法と国を断罪しました。

 原告団、弁護団は「判決はアスベスト被害の深刻さに正面から向き合い、至高の価値である生命・健康をまもる国の役割の重大性を改めて確認した」「泉南アスベスト被害者全員の早期救済に応じることを強く要求する」と声明を発表。

 村松昭夫弁護士は「国の責任を2次的な責任ではなく、被害者に対して直接的な責任を負うことを明確にした点で画期的な判断だ」と述べ、「これ以上国は裁判を長引かせることなく、解決に向けて前進させてほしい」と述べました。

 控訴審で損害賠償が認められた遺族の女性(71)は「きょうでかけるときに仏壇に『勝ってくるよ』と話しかけてきました。喜んでくれていると思います」と話しました。


 泉南アスベスト訴訟 大阪府南部の泉南地域の石綿紡織工場で働いていた労働者や家族らが、健康被害の賠償を国に求めた訴訟。同地域は石綿産業が集中し戦前は軍需、戦後は自動車産業などに製品を供給。中小、零細業者が多く、1990年代前半に大半が廃業しました。第1陣訴訟は一審大阪地裁が初めて国の責任を認めましたが、高裁で原告が逆転敗訴し上告審で係争中。2陣の原告の被害者33人のうち既に15人が死亡しました。


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