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2013年12月13日(金)

主張

労働時間「改革」

またも「残業代ゼロ」制度化か

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 政府の産業競争力会議と規制改革会議がそろって労働時間規制の見直し提言を出しました。産業競争力会議は「日本型新裁量労働制」、規制改革会議は「新たな適用除外制度」と表現は異なりますが、経営者が労働時間規制にしばられず、残業代も、深夜・休日出勤手当も出さずに労働者を働かせることができる制度をつくるものです。第1次安倍晋三内閣が「残業代ゼロ法」「過労死促進法」と国民の批判をあびて国会提出を断念した「ホワイトカラー・エグゼンプション法案」を装いを変えて復活させる危険な動きです。

ひそむ重大な危険性

 「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、技術開発・事務系労働者について一定の要件をつけて労働時間法制の適用除外にするものです。2001年当時の政府の総合規制改革会議が答申して以来、導入の動きが続いてきました。

 しかし第1次安倍内閣が導入に失敗した苦い経験から、政府も財界も慎重になり、いま「ホワイトカラー・エグゼンプション」ということばを使いません。「残業代ゼロ」「過労死促進」の希代の悪法という国民の批判を再びあびる不安からです。いまの安倍内閣の「日本再興戦略」「規制改革答申」も直接の言及はありません。国家戦略特区で「年収800万円」の要件で導入する構想が出ましたがつぶれました。

 今回の両会議の提言は、健康確保のために労働時間の量的上限規制の導入とか、休日、休暇の取得促進に向けた強制的とりくみとか、労働者を思いやる規制をさかんに並べる一方で、「一律の労働時間管理がなじまない労働者」について労働時間規制の適用を除外する「日本型新裁量労働制」を創設するとしています。健康に配慮して労働時間規制を強化することと適用除外制度の創設は、だれが考えても両立しません。

 これは労働者の批判をかわす意図と同時に、重要なねらいがあります。政府・財界がめざす「多様な正社員」をつくる労働法制改悪の具体化です。

 いま政府・財界は正社員を無限定な働き方と、勤務地、労働時間などを限定した働き方とに分けようとしています。そのさい限定型の社員は労働時間について一定の規制を設けて待遇も悪くし、無限定正社員は「労使合意」で文字通りいっさいの労働時間規制の対象外にするという構想です。規制改革会議で財界代表から無限定正社員はみな残業代をゼロにする具体的意見が出ています。

 労働時間の適用除外にする理由は「労働の成果を労働時間の長さで測れない」「労働時間で管理することがなじまない」労働者がいるというものです。これは経営者の理屈にすぎません。

反撃のたたかいが急務

 実際の労働者は短期の成果目標、納期でがんじがらめにされ、自己の裁量などまったくない状態で働いています。「労働時間の長さと賃金のリンクを切り離す」という主張は、残業代を払いたくない財界の身勝手な言い分です。

 産業競争力会議の提言は、まず年収1000万円を超える高所得専門職に先行導入し、来年秋をめどに本格的な制度創設の結論を得るとしています。財界のいいなりの主張に、労働者、労働組合の垣根を超えた反撃が急がれます。


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