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2013年11月30日(土)

論戦ハイライト

「日米密約」で国民欺き続ける政府

「秘密保護」語る資格ない

参院特別委 井上議員の追及

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(写真)政府を追及する井上哲士議員(中央)=28日、参院国家安保特委

 秘密保護法案が委員会審議入りした28日の参院国家安全保障特別委員会で、日本共産党の井上哲士議員は、自民党政権が結んだ核兵器持ち込みの日米密約の問題を取り上げ、「国民を欺き続け、反省もしない政府が国民に『秘密保護』などという権利があるのか」と現政権の政治姿勢を追及しました。


井上氏 「国民を欺いたことにケジメをつけよ」

外相 「さまざまな要素がからんでいた」

 非核三原則を国是としながら、それに反する「核密約」を保持したことに何一つ反省しない自民党に、「秘密を侵すな」と国民に指図する権利があるのか―。

 井上氏が厳しく問いただしたのは、歴代の自民党政権が日本共産党の追及に一貫してその存在を否定し、調査も拒否してきた核密約に関する「討論記録」の取り扱いです。

 「討論記録」をめぐっては、2000年に日本共産党の不破哲三委員長(当時)が国会で、米国立公文書館で発見したコピーを突きつけ、その存在をただしましたが、小渕恵三、森喜朗両首相ともに存在自体を否定し、調査も拒否しました。その後、民主党政権に代わった10年3月に政府は「文書が発見された」と存在を認める報告書を公表。志位和夫委員長の質問主意書に対し、政府は「両政府間で作成された合意文書である」との答弁書を出していました。

 井上 「存在しない」「調査もしない」と歴代自民党政権はいい続けてきたが、現に外務省内に存在したのは重大だ。どういう扱いになっていたのか。

 岸田文雄外相 公表以前は極秘に指定されていた。

 まともに答えようとしない外相…。井上氏は「歴代自民党政権が『ない』といっていたものが、『あった』ことをどう説明するのか」「国民を欺き続けてきたことをどう考えるのか」と再三迫りましたが、外相は「当時の状況についてさまざまな要素がからむ、簡単に判断できない」などと言い逃れに終始し、無反省さを際立たせました。

 井上 数々の密約を結び、国民に隠してきたことへのケジメもつけずに、こんな法案を出すことは許されない。

井上氏 「今後も解禁文書の隠蔽続けるのか」

外相、公表を確約せず

 井上氏は、09年に複数の外務事務次官経験者が共同通信に明らかにした証言をひきながら、官僚が密約を管理し、歴代首相・外相すら選別していた舞台裏を浮き彫りにしました。

 井上氏は「信用した政治家だけに密約を知らせていた」「(密約を話していい首相、外相かどうか)役人サイドが選別していた」との元次官の証言をあげ、「事実を知らされないまま、官僚の書いた答弁書を読まされ、密約の存在を否定した首相、外相も少なくない」と指摘し、こう迫りました。

 井上 「(事実と違う答弁を続け)何か恥ずかしいなという思いがあった」と証言した元次官もいる。虚偽答弁を読まされ続けてきたことに大臣として怒りはないのか。

 外相 長期間国民に問題が明らかにされてこなかったことは、遺憾に思わなければならない。

 井上 人ごとのようだ。われわれが米公文書館で探し当てて国民の前に明らかにしたのに、『ない』とうそを言った。これからも解禁文書で明らかになったものの隠(いん)蔽(ぺい)を続けるのか。国民に明らかにすると約束せよ。

 外相 今後とも外交における秘密の判断を念頭に、できるかぎり国民に明らかにするよう努力をしていかなければならない。

 他国の解禁した外交文書の公開すら確約しない外相。秘密保護法案をめぐる委員会審議で政府は「特定秘密の情報が他国で公開された場合は、指定を解除する」と答弁していますが、結局は政府の恣(し)意(い)的な判断次第であることが浮き彫りになりました。

井上氏 「『秘密保護』で隠蔽体質さらに深く」

外相 「基本的骨格は変わらない」

 井上氏は「密約は過去の問題ではない」と強調し、外務省の現行の「秘密保全に関する規則」(内規)についてただしました。

 岸田外相は同内規に基づき、「機密」「極秘」を局長級、「秘」を課長級官僚が指定し、年間数百万単位の膨大な秘密文書が同省で作成されていると答弁。また、秘密を知る必要のある人間の範囲を判断する権限も局課長級官僚にあり、外相自身が指定に関与しないことを認めました。

 井上 この内規は秘密保護法成立後に変わるのか。

 外相 基本的に骨格は変わらない。

 井上氏は、内規によって重要な秘密文書ほど官僚の判断で一部の外相にしか見せない徹底した秘密体質が維持されてきたことをあげ、その典型が核密約だと指摘しました。

 井上 秘密保護法ができれば、官僚が外相を選別するやり方は温存された上、厳罰でジャーナリスト・国民に萎縮効果を生む。秘密体質がさらに深まるだけだ。

 外相 外相としても全体を管理しながら、秘密のありようをコントロールしていく。

 事実上外相が指定も把握もしていない管理実態を指摘され、岸田氏はしどろもどろの答弁に終始。井上氏は「官僚がつくった虚偽答弁を『おかしい』とも言えないままでは隠蔽体質が深まるのは明らかだ。廃案しかない」と強調しました。

 藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使の「討論記録」 1960年1月6日、当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が頭文字署名した、核兵器持ち込み密約。旧安保条約下で確立された核積載米艦船の日本寄港などを「事前協議」なしで継続できるようにし、自由な核持ち込みを認めました。


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