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2013年11月22日(金)

銀河系外から高エネ・ニュートリノ

南極観測で存在確実に

千葉大など

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 銀河系(天の川)外のはるか彼方の宇宙からやってくると考えられていた高エネルギーニュートリノが実在することがほぼ確実になった―。千葉大学ハドロン宇宙国際研究センターの研究者が参加している国際研究グループが、南極の氷の中に設置した「アイスキューブニュートリノ天文台」の観測結果を、22日発行の米科学誌『サイエンス』に発表しました。

 アイスキューブニュートリノ天文台は、南極点の真下、深さ1450〜2450メートルにある1立方キロメートルの氷の中に、ニュートリノ検出器5160個を配置したものです。岐阜県飛騨市にある東京大学宇宙線研究所のニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」の2万倍の体積があり、非常に数が少ないと考えられる高エネルギーニュートリノの観測を目的に建設されました。

 研究グループが、本格的な観測がはじまった2010年5月から12年5月までのデータを解析した結果、30兆電子ボルト(電子ボルトはエネルギーの単位)以上のエネルギーを持つニュートリノとみられる粒子を28個とらえていたことがわかりました。

 この中には、昨年の春千葉大学グループの主導で発見、公表された1000兆電子ボルトを超える史上最高エネルギーのニュートリノ2個も含まれています。このエネルギーは1987年にスーパーカミオカンデの前駆装置「カミオカンデ」がとらえたマゼラン雲(銀河系の伴銀河)内の超新星「1987A」のニュートリノ(この成果で小柴昌俊・東大特別栄誉教授が2002年ノーベル物理学賞を受賞)の100万倍のエネルギーに相当します。

 このような高エネルギーニュートリノは、超新星やブラックホール、パルサー、活動銀河核(クエーサー)といった宇宙の非常に激しい現象が起源と考えられています。ニュートリノは電気的に中性なので磁場によって進路が曲げられないため、高エネルギーニュートリノを観察することで、こうした現象を詳しく調べられる可能性があります。

 千葉大学の吉田滋准教授は「今回の解析で高エネルギーニュートリノが存在することと、そのエネルギー分布が明らかになった。今後、その起源を明らかにするために、高エネルギーニュートリノの観測数を増やしたい」と話しています。


 ニュートリノ 素粒子の一種。超新星爆発や太陽中心の活動、地球大気に飛び込んできた宇宙線などで生じます。ほかの物質とほとんど反応しませんが、アイスキューブニュートリノ天文台やスーパーカミオカンデは、ニュートリノが水分子をつくる電子とまれに“衝突”してかすかな光を発するのを利用して検出しています。


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